草を求めて東奔西走コラム 2024年10月4号掲載
「ミュンヘン・ニンフェンブルク植物園」
今回、greenさんにお声掛けいただき、コラムを担当させていただく事になりました。White
moonです。暇を見つけては国内外のアクアリウムショップやら植物園やら水辺の植物がありそうな場所を「百聞は一見に如かず、とりあえず行ってみよう」をモットーにふらついております。たまに外れることもありますが、まぁそれもまたおもしろです。
今回のコラムでは先日3月に訪れたミュンヘンのニンフェンブルク(Botanischer Garten
München-Nymphenburg)植物園について備忘録を兼ねてご紹介させていただこうかと思います。
ミュンヘンはドイツ南部の割と人口のある大きな街です。ビール好きの方には世界最古のビアホールがある場所として認識されているかなと思います。実際ソーセージをアテに楽しむ地ビールは美味しい(笑)。あとはサッカーのバイエルンミュンヘンが有名ですかね。私はあまり興味がないのですが、、、、
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| 新市庁舎の時計塔 |
ロジ周りはハブ空港であるミュンヘン空港があるので日本からのアクセスはとても良いです。地下鉄、トラム、バスなど公共交通機関は共通チケットを購入すればお得にまわれます。日本の公共交通機関と同様、この辺の乗り物は時間に正確ですが、ドイツ鉄道はよく遅れますので(ドイツ人にも大変不評)お気を付けください。英語で行先案内もあるので東南アジアに比べると難易度低いです。
さて前置きが長くなってしまいましたが、ニンフェンブルグ植物園はニンフェンブルグ城というむしろ観光のメインはここだろみたいな場所に隣接しています。大体の観光客はこちらに行くのですが、草の人はこちらです。
Nymphenburgは妖精の城という意味ですが、植物園前の看板も語源が同じNymphaeでオオオニバスが見られる場所としてとても有名なのです。これは期待しかないぞ。
、、、と心躍らせていたのですが、冬季の睡蓮温室はお休みとのことで、見られませんでした、、、暖房費がかさむので夏季だけの展示だそうです。うーん残念。
ですがそれだけではない。水草とサトイモ、ジメジメ系植物の展示がとても多いんです。ご高覧あれ!
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| Gewächshäuser:Tropisches Sumpf- und Wasserpflanzenhaus |
バカでかい原種アヌビやエキノは一見の価値ありですよ。グラウカスはやはり白い、、、
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| Echinodorus glaucus |
ラゲナンのプルエルテラミッサもありました。日本ではまだ商業ルートで入ってきていないのでは?
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| Langenandra praetermissa |
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| Lagenandra meeboldii |
クリプトも結構ありましたが、クルダシアーナとは、、、渋い。
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| Cryptocoryne cruddasiana |
ジメジメサトイモの類の展示もだいぶマニアック。
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| Schismatoglottis concinna |
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| Naidia zygoseta |
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| Schismatoglottis lancifolia |
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| Homalomena humiliis |
オネマもありましたが、ピクタムはなかった、、、
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| Aglaonema simplex |
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| Aglaoonema fumeum |
水草はご覧の通り水槽がずらりと並んでいます。雰囲気は草津の水の森に近いかな?ホレマニーもご立派でした。
こんな施設が日本にもあったら良いですね。こちらからは以上です。また次回のレポートでお会いしましょう。
草を求めて東奔西走コラム 2024年11月4号掲載
「シンガポール植物園」
2回目となる今回はシンガポール植物園をご紹介したいと思う。シンガポール(SG)といえばどんなイメージをお持ちだろうか。マーライオン、マリーナベイサンズ、チキンライスなどなど。渓流植物を長くやっておられる方には世界の〇〇さん便とSGはセットで記憶に深く刻まれている事だろう。
実際どのような国なのかというと、さまざまな人種が折り合いをつけながら明るく生きている国といった感じである(気候のせいもあるかもしれないが)。そこかしこに花が咲き乱れており、都市全体が良い香りがする。日本人特有の空気を読む特殊能力はあまり通用しないが、欧米よりは察してもらえる(笑)。
シンガポールは英語が公用語の一つであり、東南アジア経験の最初のステップを踏むにはちょうど良い難易度でお勧めである。観光地を外せば飯も安くて美味いし、フルーツなども他の東南アジア諸国と比べるとやや高いものの、日本の物価よりだいぶ安く楽しめる。
またバスや公共交通機関はクレジットカードのタッチ決済機能が使えるのでいちいち切符を買わなくて済むので楽ちんである。
旅行サイト等ではライトアップされたホテルとマーライオンの豪華な印象が強いが、あのエリアは観光客向けの仮初の場所である(笑)。そこから1時間ほど移動すればBukit Timah Nature Reserveなどの保護区もあり、SG固有種とされるCryptocoryne X timahensisなども観察できる。地元のアクアショップ店員とも話したが国立公園から外れた場所にはCry. cordataが自生しているらしく、先進国のイメージと異なり、自然度が高い場所は維持されているようだ。
アクアリウムショップも何件か回ったが、店舗のラインナップは日本に非常に近い印象がある。珍水草の種数などは日本と比べるべくもないが、近年、日本にも持ち込まれるようになったXyris sp、ウォーターローズレッドなどはもともとSG由来のものである。
一方でいわゆるジメジメ系植物は力を入れている店があるにはあるが、まだまだこれからという印象である。しかしながらBucephalandraの品揃えは日本の規制前を思わせる物量であった。
前置きがかなり長くなってしまったが、シンガポール植物園に話を戻そう。シンガポール植物園はSG唯一の世界遺産でもある。
植物園内に原生林が保存されており、現地ジャングルの風景さながらの様相である。
移植されたものかは不明であるが、ホマロメナなども生えていた。
園内には水辺も併設されており、ハイグロフィラなどがいた。現在H. polysperma Singaporeで流通しているものと同じなのだろうか。
エキノドルスも生えていたが種類は不明。
園内は非常に広大で全てを回りきるにはほぼ一日必要となるだろう。
その他のアクティビティも充実しており(私はあんまり興味がないけど)、お手軽にバランスよく東南アジア気分を楽しむにはお勧めの国である。 特にPlants loverが草に興味のないパートナーを連れ出すにはお勧めかもしれない(笑)。冬期休暇に是非ご検討してみてはいかがだろうか。
草を求めて東奔西走コラム 2025年1月3号掲載
「カリマンタンに持っていって良かったもの、良くなかったもの」
年末から年始にかけてカリマンタンに行ってきました。
コロナ前はちょくちょく東南アジアに行ってましたが、すっかり出不精(国外)になってしまったので、今回はとても新鮮な気持ちで臨めたのが良かったです。
天野御大の言葉に「小さな命を愛せずして、大自然を語ることはできない」という有名な格言がありますが、逆もまた然りで大自然を経験しないと小さな命のことすら語れないんじゃなかろうかということで、ほぼ思い付きでしたが、行ってしまいました。
結論から言うと、帰国後10日くらいたってますが、すぐにでも都会のジャングルから飛び戻りたいくらいには良かったです。現地の植生ももちろん素晴らしいですが、食べ物やローカルの人々との掛け合いなど様々な側面から行ってよかったと心から思える場所でした。生き物好きなら、一度は訪れるべき場所でしょう。
さて今回は人のブログで好き勝手に(笑)、備忘録を兼ねてどんなものが必要だったのか、再考してみようと思います。
前提条件として、ジャングルを歩き回る、キャンプする、写真を撮るのが主目的というのがあります。
1.撮影について
現地の映像を撮るなら撮影機器に「気合い」を入れなくてはいけないでしょう。そうなるとめっちゃ重くてしんどいですが、答えは一眼しかないですね!まずジャングルはとても暗い、撮影対象が多岐にわたる、被写体と距離がある場合が多いという点があります。そのためトリミング耐性の強い高画素機に便利ズームを組み合わせるのが一つの答えになるかと思います。
ジャングル内を徘徊しているときにレンズを交換するヒマはないです。F値の低い暗さに強いレンズも持っていきましたが、被写体に近づけないことのほうが圧倒的に多くほぼ便利ズームでした。ニコンからはZ28-400という化け物便利ズームがありますので、こいつをお勧めします。ワイド端ではほぼ0距離で撮影できるので接写撮影もできる。すごい便利。
一方、鳥などの動きの速い生き物をテレ端で撮影するのは暗くなりすぎて難しいです。また生き物相手の撮影だとすぐにカメラを取り出せるよう、カメラホルスターをリュックなどに取り付けるとよいです。川で滑ったり、コケたりする可能性があるので、取付位置はカメラを保護しやすい胸のあたりに固定するのが良いと思います。
また雨、濡れを想定した装備も必要になります。防水のカメラバックや登山用のドライバックは必ず用意しましょう。ブセファランドラが生えているところは泳がないといけなかったので、ドライバックにカメラを入れて泳いで、頑張って撮影しました(笑)。
2.キャンプ道具について
海外でキャンプするのがちょっとした夢でしたので、2回もやってしまいました。
木が生えている場所が多い、雨期の地面の影響を受けないので蚊よけつきのハンモックスタイルが良いかなと思います。
気を付ける点は虫対策です。本当に、本当に多いです。富士山周辺の森で夏キャンプするときの3倍から5倍は虫が来ると思ってよいです。ディート成分の多い虫よけは絶対必須です。効果は絶大でハンモックとキャンプ道具に撒いておけば虫は来ません。ハンモックのロープにかけるのを忘れていた部分だけ耳なし芳一状態で、朝起きたらアリまみれになっていたので、その辺もぬかりなく。
また朝晩は半袖一枚ではサブいぼが立つくらいに冷えるので、ポケッタブルパーカーなどは準備しておいたほうが良いです。あと夜は暗闇なので、防水のヘッドライトを準備したほうが良いです。夜も生き物探しをやるなら必携です。その際はなるべく光量の強いものが良いでしょう。またごみなどを持ち帰られるようにダイソーなどで売っている携帯ポリ袋などは持っていったほうが良いですね。
3.ジャングル歩きについて
とにかく汗をかきますし、濡れます。また持っていける個数に上限があるので、速乾性の高いTシャツと長ズボン、長袖があるとよいです。晴れたらチャンスと思ってすぐ洗って干しましょう。
またジャングル内にはトゲのある植物がトラップのごとく、たくさん生えていますので、100%穴が開きます。安いやつで十分です。私はすべてユニクロで揃えました。ただモジモジ君(古い)みたいなタイツは暑苦しくて持ってかなくてよかったかなと思います。
吸血昆虫が多いので虫除けスプレーは持っておきましょう。汗をかくたびに効果が薄れるのでジャングル/渓流歩きの間は取り出しやすい場所にあったほうが良いです。
ヒルはネッタイチスイビルを一回見たくらいでしたが、一応シューズにはヒル除け用のスプレーは塗布していました。私は蚊に刺されてもほとんど腫れない体質なので舐めてましたが(笑)、1mmに満たないブヨ(Agas)が水辺にはたくさんいます。サイレントで痛みもなく刺されたことに気づきません。ブヨに刺されたところはまだ痒いです(笑)常に虫よけを塗っておいたほうが無難です。屋内でも普通に出ます。
山歩き、渓流歩きに慣れていない場合はストックを準備しておいたほうが良いです。あるとないとでは疲れの残り方が段違いです。
きれいな飲み水は町で買えますが、携行するには重いだろうなと思って、携帯浄水器を持ち込みました。これは正解でした。濁った水でもクリアな飲み水になります。ただ1日くらいで味が夏場の麦茶みたいになるので、保存はきかないと思います。
シューズは山歩き用のものが良いですね。ただ地面条件はぬかるみ、水場、岩場がシームレスに続いていくので履き替える余裕はありません。めんどくさいなと思って、マリンシューズで徘徊していたら、アリに刺されました。いってぇーーと叫ぶレベルの刺激で痛みが結構長引きます。やはり頑丈なシューズを用意したほうが無難です。
ゴアテックス素材のものは一度中まで水が入ると乾きませんが、気持ち悪くても我慢しましょう。現地の虫毒にアヒンサーを獲得している現地人とは違いますので(笑)。ただジャングル歩き以外ではサンダルでOKです。むしろ市街だとサンダル以外をはいている人はほぼいません。
4.その他
基本的に食事は煮る、焼く、揚げるが基本で、大皿にのっけたご飯に汁物をぶっかけて食べるスタイルで、味もおいしいです。
フルーツはワイルドものが死ぬほど食べれますので、天国のような場所でしたな。ただ醤油成分が日本人的には足りません。シンカワンの中国人街から中国醤油が手に入るようですが、味が全然違いますので、日本からだし醤油的なものをちょっと持ってくと望郷の念が和らぐかと思います。
感染は人によるかと思いますが、カリマンタンに行く前から約1か月間、ビオフェルミンと乾燥納豆で腸内細菌を鍛えていたのでNO下痢、NO腹痛で過ごしました。むしろ帰国してから、はやりの胃腸風邪みたいなものにかかってしまいましたが、、、
トイレはですね、綺麗な右手、汚い左手スタイルです。覚悟してください。これは慣れるしかありません。風呂ですが、川が近くにある時はパンイチでマンディです。日に2回します。やらないとなんでマンディしないんだと怒られます。速乾性の大きめのタオルを持参しましょう。ポンティアナみたいな都会でも温水シャワーはあまりないかもしれません。
草を求めて東奔西走コラム 2025年3月2号掲載
「クロアチアの水草事情とEUファーム裏話」
先月、クロアチアを訪れる機会があったので恒例のショップ巡りに興じました。
クロアチアはイタリア半島のふくらはぎの反対側にある国です。有名な観光地といえば魔女宅の舞台となったドブロブニクが思い浮かびますね。
私が訪れたのはザグレブという内陸に位置するクロアチアの首都で、地中海の陽気さをイメージしていた私としては、常に霧がかっているわ、寒いわで期待を裏切られました。雰囲気があってよかったですが……
位置的には南ヨーロッパですが、東欧っぽさもあり西ヨーロッパと比較すると物価は安く、夜一人で歩けるくらいには安全です。ほぼ英語が通じます。haveをヒャブと発音するので、ちょっとロシア英語っぽい感じでした。そして人がでかい。ミルコクロコップの話でおじさんたちの心を掴むことができますので、行かれる際はボブサップ戦を予習しておくと良いでしょう(笑)
ちなみに飯は旨いです。ガリみたいな酢漬けを朝から食べていたので日本人のお口とは親和性が高いのかもしれません。
クロアチアに植物のイメージはあまりなかったのですが、クロアチア通の方から聞いた話ではクリスマスローズの原種などが結構あるらしく、冬でなければ山での散策も楽しそうです。いずれにせよ、冬行くとこじゃないです(笑)
さて肝心の店巡りですが……なんと!首都に水草がおいてある個人店は一つしかなかったんですねぇ……事前予習では何店舗かあったのですが、どうやら2020年の地震の影響で個人店はほとんど店を閉めてしまったとのことです。
日本人なら深く頷けるかと思いますが、アクアリウムと地震の相性は最悪ですね……残念だなぁと思っていましたが、ここの店主が相当分かっている人だったので、素晴らしい意見交換を楽しむことができました。個人店のフィロソフィに触れるのが楽しいという感覚は国を選びません。
さてヨーロッパ全般に言えることですがこの手の個人店は日曜日はやっていません。土曜も早く閉まります。ほぼほぼ平日しかやってない場合もありますが、日本と大きく異なるのは開店時間です。日本の個人店はだいたい昼くらいから開店しますが、ヨーロッパの店はバリバリの朝型で8時くらいからやってますし、夜も遅めです。しっかりとタイムマネジメントすれば、出張中にふらりとよることは安易です。
20年位前が一瞬頭をよぎりますが、首都のど真ん中に個人のアクアリウムショップはありません。たいていちょっと離れたところにありますので、メトロや路面電車、バスを駆使するのが一般的です。ローカルの公共交通機関のアプリで支払いが可能になっているところが多いので事前に調べておきましょう。
ショップ内の水草管理についてですが、これはヨーロッパ全般に言えることですが、水の硬度がバリカタなので水槽に入っているポット水草は棒になっていることが大半です。この辺はヨーロッパの水草ファームの大半がTCに舵を切った大きな要因なのではないかと思っています。ちゃんと水草やっている店は一本くらいは純水から水づくりをした水槽がありますので、本気度を知る良い指標になるかと思います。
基本的には埼玉の店の管理方法と同様、あまり水替えをしないというのがポイントのようです。一方で水上管理するという方式もよく見られます。ガラケージにウォーターフォールがついた什器(DoAqua製品にガラスの扉をつけたやつ)で管理しているケースもあります。

主に中にはサトイモ系の水草が並んでいます。見慣れないタグがみられると思いますが、こちらは
Interaqua floraというハンガリーの水草ファームです。
一方でこちらのTCカップはポーランドの
aqua artというファームになります。日本では見ることができませんが、ハンガリー、ポーランド、チェコといった西ヨーロッパではあまり見られないものが流通しているようです。
BuceだとUlyssesやらachiles greenなどKN便由来と思われるブセが何種類かこの手のファームから出ていました。店主曰くBuceを積極的に輸入していたのはチェコのファームらしく、当時、彼も100種類くらい入手したと言っていました。
もしかしたら昨今日本に輸入されるTCブセの元ネタはこのチェコのファームに入ったものではないのかなと思ったりします。
またチェコのファームといえばRataj便が思い浮かびますが、チェコは地熱が使えるらしくエネルギーコストを相当抑えられるそうです。人件費も安いため水草の価格が抑えられているとのことでした。店主はよくそのファームに買い付けに行っていたらしいのですが、某有名ファームの担当者もよくこのファームにきており、彼らは価格の安いチェコのファームで買い付けた植物をばらして自施設で大きくして高額で売っているんだと言っていました。面白いですね(笑)。
一方で日本でよく見かけるようになったインドのナーセリーSreepadmaはまだEUに進出してきておらず、店主は早く来てほしいと言っていました。Tropicaなどから出ているTCブセは価格据え置きで日本の半額くらいです。この辺はないものねだりですね。
EUにおける水草キープレイスはチェコっぽいのでいつか巡ってみたいものです。チェコ出張ないかな(笑)
…続く。
草を求めて東奔西走コラム 2025年4月3号掲載
「カリマンタンの食事の話」
最近オフラインでお会いする方から、カリマンタン行ってみたいけど、現地飯が不安ですという声がありまして、備忘録的に紹介してみたいと思います。私も行ってみるまでどんなものが出てくるか不安でしたが、一部のエクストリーム食材を除いてとても美味しくいただけました。
基本的に煮る、揚げる、焼くが調理の基本で、それをご飯にのっけて掻き込むという感じです。ローカルの方は基本手で食べます。果物を除いて生ものが出てくる事はありませんでした。
ベトナムやカンボジア、ラオスあたりは生の香草が食材に入っていたりして、それに当たることがしばしばありますが、今回の旅では全く当たることなく無事に帰国できました。とはいえ日本と衛生感覚は全く違うのはわかっていますので、渡航2週間前くらいからビオフェルミンと乾燥納豆で腸内細菌叢を鍛えていたのが良かったのかもしれません。
今回の旅ではホテルには泊まらず、現地の方の家に宿泊させていただいたので“本物”を味わえた気がします。使用される食材は基本的にカプアス川でとれる魚の割合が多く、スパイニールやナイフフィッシュ、トーマン、エイなど朝市に並ぶ熱帯魚は壮観です。
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| 朝市に並ぶ様々な魚 |
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| ナイフフィッシュ |
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| トーマン(炭焼きで食べたがカツオのような風味) |
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エイ
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ジャングルでとれた食材も新鮮採れたてで美味い。また自宅で鶏を飼っている家庭が多く、捌きたての鶏が食べられます。鶏のクオリティは日本より断然上で、地鶏レベルです。ブロイラーと違いぶよっとしておらず、適度な歯ごたえと口に広がるうま味は格別です。丸ごと煮込んでスープにしたり、ローカルの調味料kecapで煮たり、グリーンカレーみたいにして食べます。
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| チキンスープ |
渓流でキャンプをする際、食材はその場で採取が基本です。レッドフィンバルブやガラフィッシュ、カメなどを食べました。渓流のためか、魚も亀も全く臭みがありません。ただレッドフィンバルブは小骨が多く食べ辛い、、、カメは初めて食べましたが、食感は鳥っぽく、出汁が美味でしたね。
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| ジャングル飯 |
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| コイ科の何か |
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| カメ |
巨大オスフロはココナッツスープの煮込みで食しました。ほぼフグの食感です。また鮒ずしのように川魚を米と塩で発酵させて保存させる方法があり、もしや生食か!?と心が躍っていたのですがやっぱり揚げるみたいです。味は塩辛いので米がないとちょっとしんどいです。
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| オスフロネームスグラミー |
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| 発酵魚 |
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| オスフロ(左)と発酵魚(右) |
カプアス川でとれたエイも食べました。アンモニア臭がきついのかなぁと心配していたのですが、全くそんな事はなくフワフワの食感でした。となりは鳥のkecap煮込みです。これも美味。
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| エイとアヤムケチャップ |
ジャングルではさまざまな植物が食用に供されます。ちょっと正体がわからなかったんですが、シダの新芽やキャッサバ的な葉っぱなどをニンニクとエシャロット等と煮込みます。野生マンゴーもワイルド感溢れる味でまさにここでしか食べれないものでしたね。ただ男性陣がつくる飯は化調がきついので、その辺は日本の男飯といっしょかなぁと思ったりします。
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| 野菜スープとワイルドマンゴー |
変わったキノコとしては現地の言葉で豚の目キノコと言われているものがあります。ゼリー状の部分はふわっとしていますが、芯の部分はこりこりしており不思議な味でした。
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| 豚の目キノコ |
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| 巨大なスッポン |
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| スッポン鍋 |
カリマンタンの人もスッポン食べるんだなと感心したんですけど、多分インドシナスッポンだと思うんですが、サイズがめちゃくちゃでかいです。ニュータンタンメンのスープで煮込んだような味付けですが、これがご飯に合うんですよね。
結論、生もの気を付ければ案外大丈夫かと思います。また行きたいですねぇ。
草を求めて東奔西走 2025年5月3号掲載
「クリプトコリネの話」
先月末にアクアプランツの特集号が発売され、2005年に発売されたアクアプランツNo.02以来20年ぶりのクリプトコリネの特集という事で、大変熱い内容でしたね。スポンサーの意向もあるのか、一時血迷ってましたが、ここ二年は軌道修正して、タイトル通りの内容になっているかと思います。一属入魂な内容は発刊当初を思い出すようでとても良いですね。是非このままの方向で進んでほしいものです。今回の号を見て、クリプトを始めてみようと思う方もいるかと思いますので、基本的なことを情報共有できればと思います。
さてこのクリプトコリネですが、この種程、日本の水草マニアの心を熱くさせたもはないのではないでしょうか。種小名に日本人の名前が使われている種は自然交雑種を含めてC. ideii, C. noritoi, C. uenoi, C. yujii, C. x nakamotoiの5種があり、さらにその発見に尽力された方が多くいます。一方、EUにはECCS(European Cryptocoryne Society)と呼ばれる同好会があり、世界中にファンの多い水草でもあります。
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| Cry.purpureaの切手(マレーシア) |
クリプトコリネはインドからパプアニューギニア、中国南方に至るまで広域に分布しているサトイモ科植物です。1779年にArum spirale(Cryptocoryne spiralis)として記載され、現在では約60種が記載されています。近年ではフィリピンの情勢が安定化し、研究者が自生地に入りやすくなったことなどもあり、同国からの新種発見のレポートが多く見られます。クリプト的にはフィリピンが熱いのかもしれませんね。
地理的な優位性もあり日本は、ほぼほぼすべての国からクリプトの輸入があるという恵まれた環境です。これは問屋、ハンターの尽力の賜物ですので、趣味家としては感謝しかありません。現状入手先としてはワイルド株、ワイルド由来の増殖株、ファーム物(草体、TC)があります。ファーム物に関しては大手の問屋が扱っているので、大体どこのアクアショップにも置いてありますが、ワイルド株、ワイルド由来の増殖株については限られたお店にしか置いていませんので、情報収集をしっかりとしましょう。特にインドネシアやマレーシア半島由来のクリプトはほぼほぼ大手のファームからは来ません(たまにリングァとか来ますけどね。でもなぜリングァ?)。また問屋特殊便で来るクリプトは種名がいい加減なので、注意が必要です。個人的にはですが、「咲かせて確かめるのが面白い」そういった楽しみ方になります。
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| Cry.cordata |
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| Cry.grabowski |
育成に関しては、少し環境が合ってない場合、葉が溶け、そのあと環境に則した新芽を展開します。全く合ってない場合はあっさりと芋ごと溶けることもありますので、環境を作ってあげることが肝要です。また溶けた葉をそのままにしておくと他の株に溶けが伝播します(特に水中)ので見つけたら取り除いたほうが良いです。
基本的には鉢で栽培するか、ヨーロピアン方式、水中といった違いがありますが、腐植質がリッチであることがどの場合においても重要です。増殖モードに入ると肥料成分を多く欲するので初期肥料としてマグァンプなどを事前に仕込んでおくとよいかと思います。海千山千の方々が管理方法を情報発信されているので是非調べてみてください。また陰性植物として紹介される事が多いですが、弱光に耐えられるだけである程度の光量は必要です。また水中への導入に際しては1-2週間浮かべて環境に慣らしてから植えてあげると初期の溶けを予防できます(または溶けが出ても取り出しやすい)。
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| Cry.striolata |
インドネシアやマレーシア半島南方に植生があるクリプトコリネに関しては、現地環境のpHが低いことが多いです。そのため底床環境のpHを無調整ピート等で低く維持し、腐植質をリッチにすると、初期導入時における失敗は避けられるかと思います。砂礫質に植生があるC. striolataではpH調整が必ずしも必要ではなく、ソイル単用でも問題なく育ちます。また日本の水質に近いようなフィリピンやスリランカを原産とするクリプトコリネに関しては、そこまで環境にうるさくありません。EUファーム由来のクリプトがこういった国を由来としているのはそういう事だと思います。またいわゆるジュエルクリプトと呼ばれているCryptocoryne sp. Min1~3は、底床の環境によってラインの入り方や葉色が変わるので用土構成で遊んでみるのも楽しいです。私の環境ではミネラルが多い方が白いラインが入りやすくなり、腐植の構成を多くすると葉が黒くなります。
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Cry. sp. Min2のミネラル添加前
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| Cry. sp. Min2のミネラル添加後 |
クリプトの魅力といえば葉のテクスチャや柄、色などももちろんありますが、やっぱり花ですよね。ジャングルの怪しさを凝縮させたようなあの感じが良いですね。ワイルド物を手に入れたらとりあえず咲かせてみるというのが、醍醐味だったりします。昔と比べて大分価格も落ち着きましたのでいろいろチャレンジするのには良い環境が整いつつあります。
草を求めて東奔西走コラム 2025年6月3号掲載
「Phymatarum borneenseの話」
みなさまこんばんは。先日の天下一植物界での販売を皮切りに、カリマンタンで見つけた謎イモこと、Phymatarum borneenseが日本に初上陸しました。当初、新種じゃないの?という事でどよめいておりましたが、私が探索した場所を再度確認して頂いたところ、開花している株があり、専門家がPhymatarum borneenseであると即答したらしいです。ちょっと残念、、、(笑)。
本種は故堀田満博士が1965年に記載した一属一種のブルネイやマレーシアなどボルネオ島に自生するサトイモ科植物ですが、Kapuas huluにも自生していたようです。実物を見た方ならお分かりになるかと思いますが、青光りしてかっこいい!でかい!写真には写らない美しさ!芋の形状的に横伸び系なのでTweeddalea roseospatha(旧スキスマトグロッティス ロゼオスパサ)に近い増え方かと思いますが、感覚的にはサラセニアっぽいので、生長点が横に伸び、鉢にあたって植え替えするという感じになりそうです。
最初に本種を見つけたのはややブラックウォーター気味の沢でしたが、明らかにT. roseospathaじゃない水中スキスマ系の何かの群落を見つけた時はとても気分が上がりました(笑)。
水中葉には黒ゴケが生えており、同じく水中化したEleocharisと混生していたことから水中でも育成可能な種であると考えられます。川岸の水上葉と比べるとかなり小型で、この点も性質的にはT. roseospathaに近いのかもしれません。
また河川の土壌は砂礫質でしたが、Eleocharisと本種が根付いていた場所はやや粘土質でした。肥料食いのEleocharisと混生していたことから、土中の栄養分は多少あっても良いのかもしれません。また私が水上葉を見つけた場所はやや開けており、粘土質の土壌でした。育成のヒントになれば幸いです。
Xでは水中に沈められた方もいらっしゃるようで、果たしてどうなるものかワクワクしております。
(追記)
先日PP便で入手しました。スキスマのようなピプトスパサのような、色々な渓流サトイモに似ていながら、どこかが違う、何者でもない感じが面白い渓流サトイモだと思います
Whitemoonさんも文中で触れられていますが、根茎がかなり長く伸びる印象で、ウルグアイエンシス系のエキノドルスのように、成長点が匍匐しながら移動し後に根茎を残していくみたいな生態(いわゆる歩き回る系)なのかなと感じます
ある程度育った後にトップカットしたら根茎から芽が出てくるのかしら?とちょっと楽しみにしてます
(green)
草を求めて東奔西走 2025年7月2号掲載
「パリで水草旅」
Bonsoir~という事でパリに行ってまいりました。
お仕事が多忙すぎてあんまりハッスルできませんでしたが、水草と博物学的に面白げな場所をターゲットにふらっと回り、かなり楽しめました。
10年前に訪れた時はこんなに暑くなかったのですが、今回はリアルヒートウェーブが発生しており、パリは燃えていました(笑)。日本のようにエアコンを設置している施設が少なく、22時くらいまでカンカン照りで逃げ場なし。ただ川沿いを散歩するには観察時間が長く取れるので夏にヨーロッパをフラフラするのは時期的に正解かもしれませんね。帰国後には15度くらいに冷えたらしいので、本来はもっと快適なのかもしれないです。
さてパリ市のど真ん中を流れるラ・セーヌことセーヌ川ですが、存外、植生豊かなので驚きました。ポタモゲ、ヒルムシロ、コウホネ、ミリオフィラム、ウキミクリ?など大都市のど真ん中で見られるとはかなりびっくり。これは上流の方へいってみたらもっと色々見られるかもですね。
出張時のお決まりのショップ巡りですが、今回はGrok先生に水草の強い店を聞いてみた所、大変良くご存知だったので、初めての国では彼(彼女?)に聞いてみるのが良いかもしれません。またフランスあるあるですが、お店に入ったときはきちんとボンジュールと言いましょう。さもないと扱いが悪くなるらしいです。あと基本的に英語通じません。電波状況が悪いので(3Gを久々に見ました笑)、アプリを用いたリアルタイムの翻訳は活躍できなそうです。質問事項などは事前に翻訳したものを用意しておいたほうが無難です。
さて一店舗目はなんとIAPLC2014年にGrand Prizeを受賞されたGregoireさんのお店でした。素材がうず高く並べられており、ザ・レイアウターの店といった感じでしたね。他国は水槽内の生草の状態が高硬度のせいで死んでいるのですが、きちんと維持されていました。アクアフロー“ラ”、デナリー、トロピカなど欧州ファームのもののほか、TCカップでは日本未入荷の種類が在庫されていました。ADA製品が並んでいるのはふふふっとなりましたね。こちらのお店ではTropica ART posterを購入。
お次の店は郊外の店、パリの中心部付近から1時間半とかなり気合が必要でしたが、何とかたどり着きました。なんだか故Charm実店舗のような趣のある店で、名前もなんとAquaplanteとそのままのネーミング。水草は契約農家?で栽培された水上葉がメインのお店で、原種系エキノのほかホレマニーグリーン、レッドなどなかなか面白げな物がありましたが、水草だけではなく、熱帯魚や海水魚、コイなど手広く在庫しているので、今まで訪れたEUの店の中で一番見応えがありました。ポンドプランツコーナーもありEU原産のオモダカやハナイ、バルデリア、スギナモのほか、北米原産のAnemopsis californicaなど大変興味深いラインナップ。パリ近郊には池持ちの家庭が多いんだろうか。公園の池にもヒルムシロが植わっていたりとセンスを感じましたが、この辺はビオトープを楽しむ日本人の感覚に近いのかもしれない。せっかくなので何か買おうかなと思ったらTropica 50周年記念製品がまだ残っているじゃないの!?という事でカップとボトルを購入。ここで選ぶのはやっぱウェンデロブでしょう。
続いて目指したのはサン-トゥアン地区の骨董市。ここ数年、博物画蒐集にはまっているので一度は行ってみたかった場所。絵画、アンティーク家具、古着、オーディオ、ボタン、古書、甲冑、こけし(笑)が一同に集まって、まるで巨大迷路でした。しかも立体的。あまりに巨大すぎて、最初に訪れた店で見つけたキルトスペルマジョンストニーの大きな博物画を、後でまた取りに来ますねといったきり、そこに再びたどり着くことが出来ませんでした。トホホ。結局この市場では19世紀にフランスで出版されたポケット植物図鑑のNuphar luteaを購入。状態も良く、とても良い買い物が出来ました。
フランスにはこだわりが強い個性的な店が多くマニアックな方であれば間違いなく楽しめるでしょう。現地民曰くこれがアムールらしいので、なるほどこれが愛の国だと実感しました。また訪れたいけど次は旅行で。
仕事で行くとこじゃないねパリは。
草を求めて東奔西走コラム 2025年8月3号
「ふらり琵琶湖の旅」
日本における水草の聖地とはどこだろうと考えた時、まず思い浮かぶのは琵琶湖でしょうか。今回、運よく訪れることが出来たので今回はそのレポートをお届けしたいと思います。私が訪れたのは南湖周辺のみですが、湖岸沿いを散歩するだけでも様々な水草を見ることができ、十分楽しめました。
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| 湖岸の切れ藻 |
私が訪れたのは7月末ですが、とにかく暑い!また護岸に使われている岩がめちゃくちゃ滑りますのでグリップ力のある靴を用意したほうが良いですね。私はずっこけてびしょびしょになりました(笑)琵琶湖周辺は散歩道となっており湖岸へのアクセスは容易ですが、近年はサイクリスト向けに道が整備されつつあり、自転車がかなりスピードを出している場合があるので散策の際は注意が必要かもしれません。また外周約200kmもあるので自由に探索するには車がないと厳しいかもしれませんね。
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| 切れ藻 |
風向きによっても異なると思いますが、大津駅から徒歩でアクセス可能な場所には多くの流れ藻が打ち上げられており、クロモ、マツモ、ササバモ、イバラモ、トリゲモなどが採取できました。琵琶湖のイバラモはザ・イバラモな形状でナイスです。せっかくなので固有種が見たいなと散策しましたがが、大津周辺には固有種であるネジレモは見当たらず(外来種のコウガイセキショウモしかなかった、、、)、30分ほど車で移動した所でようやく見つかりました。これが“本物“のスクリューバリスネリアかと、ちょっと感動しました(笑)。同じく固有種であるサンネンモも見つかるかなと思いましたが、今回は残念ながら見つかりませんでした。南湖にも植生の記録はあるらしいのですが、限定的なようです。
個人的には琵琶湖といえば草津市立水生植物公園みずの森なのですが、睡蓮のコレクションや全力のオニバスを楽しむにはこの時期しかなく、これを逃す手はない!とぶらりしてみました。パラグアイオニバスはやはりでかくてかっこいいですね。そして庭が美しい。いつかベランダをこんな感じにしたい。
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| ヤマサキカズラとマダガスカルキツネノマゴ |
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| Lasia spinosaの沈水葉 |
また温室内には山崎美津夫先生が採取されたヤマサキカズラとマダガスカルキツネノマゴが鎮座しております。やはりこの二つはセットで展示されているのですな。我が家も同じ組み合わせで育てていたりします。窓際に水を入れておくだけで育つので優秀です。温室内には水槽があるのですが、沈水化した状態のラシアは初めて見ました。An. giganteaっぽくてよいですね。8月19日からみずの森にて水草展が開催されるようですので訪れる機会がある方があれば是非。
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| Salvinia minima |
水草にまつわるグッズがあるかなと思い、土産物を散策してみた所良いものが見つかりました。漂着した流れ藻は極めて一部の水草野郎を喜ばせるだけで基本的には腐敗して異臭を放つ厄介者ですが、それを工芸利用しようという試みがあります。Glass imecaさんという作家さんの作品ですが、水草を燃やして作った灰を利用して色付けをしており、淡い色合いがとても美しいですね。これは琴線に触れる良いものを手に入れました。もちろん合わせるのは山崎先生由来の水草で。
今回は一泊二日でなかなか時間をとれませんでしたが、1週間くらいかけてゆっくりじっくり琵琶湖巡りをしてみたいものです。
草を求めて東奔西走 2025年9月3号掲載
「博物画蒐集のススメ」
こんばんは。唐突ですが2-3年前から植物の博物画蒐集にはまっています。博物画は鑑賞性が高く、死なないし、枯れないし、歴史的価値もあって素晴らしいぞ!という事で、博物画の魅力について語ってみたいと思います。といってもそんなに詳しくもないので情熱だけ伝われば幸いです。
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| チェコスロバキア時代の熱帯魚図鑑 |
博物画は英語でNatural history illustrationと呼ばれ、主に図鑑の絵や図譜などの動植物の特徴を詳細に記録するための絵を指します。単に植物画(Botanical art)や動物画(Zoological art)とも言われます。16世紀ヨーロッパにおいて博物学の進展とともに発展し、今日においても図鑑や論文など生物の特徴性を示すための手段として重要です。芸術的価値も高く、先日訪れたフランスパリでもショーウィンドウの装飾などに使われていたりして、もしかしたら今世界的に流行っているのかもしれません。その様式はヨーロッパの水草ファームにも受け継がれているのか、水草の販売タグなどの挿絵にはリアルな水草が美しく描かれています。
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| Tropica art poster |
残念ながら日本では流通しませんでしたが、海外ではTropica社の50周年記念の際、5タイプの植物画とポスターカードが販売されていました。運よく何種類か入手出来ましたがこれはいい物でしたね。いつかフルコンプしたい、、、
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| 有用植物図説巻ノ三 |
一方、日本においてはいわゆる博物学的なムーブメントが起こったのは江戸時代中期以降だったようです。明治時代のものを所有していますが、木版画を用いて刷られており味わい深い絵柄が良いですよ。
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| ジュンサイの図譜 |
植物画のアンティークとして最も有名なのはおそらくカーティスボタニカルマガジンだと思います。イギリスの博物学者のウィリムカーティスにより1787年に発刊され、今日においてもKewガーデンに引き継がれ、出版され続けているとんでもない植物雑誌です。18世紀後半のイギリスでは、大航海時代の副産物として異国の植物栽培が大流行し、新種や珍種がこの雑誌を通して紹介されていたそうですが、現代に置き換えればMist lovers的な存在だったのかもしれません。世紀をまたいで植物マニアの情熱が手垢とともに封じ込められたものなので、今日においても熱くて当然と言えば当然の代物なのかもしれません(笑)。
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| 水草いろいろ |
さて博物画は基本的にアンティークの書籍を裁断したものが販売されています。カーティスの場合、図版と説明文(ない場合もある)がセットで販売されており、銅版画に手彩色して描かれているのが特徴ですが、彩色も特徴をとらえておりGoodです。価格は図譜の状態、大きさ、彩色が全体にわたってなされているのか、出版年代、出版数、レプリカかどうか、植物の種類などによって異なります。睡蓮は例外として、水生植物はそんなに人気がなく(涙)、だいたいそんなに高くありません。A4サイズ、手彩色で描かれているのものだとだいたい3,000~7,000円くらいでしょうか。A4の半分くらいのものは1000円以下で買えたりしますので、そういったものから沼に踏み入れるのも良いでしょう。
日本では動植物の古本を専門に扱っている店や、骨董市、博物画を専門に扱っているバイヤーさんから入手できるでしょう。しかしながら物量的な観点から言うと、洋書のアンティーク由来のものが多いので博物学に所縁のあるパリやロンドンなどの本場で探したほうがいろんなものに出会える可能性は高そうです。パリのサン-トゥアン地区では博物画の専門店が何店舗もあり、本場は違うなぁとうらやましく思いました (GJ vol.41 2025年7月2号参照)。もし機会がありましたら是非行ってみてださい。 ちなみに今私が探しているのはクリプトコリネの図譜なのですが全然見つからないので、もしか見つけたらこっそり教えてください。
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| Rafflesia patma |
図譜説明
1.チェコスロバキア時代の熱帯魚図鑑
ネオンテトラとラスボラヘテロモルファの図譜エキノ?とクリプト付き。飼育繁殖方法について書かれている。
2.Tropica art poster
日本にも入れてほしかったなー
3.有用植物図説巻ノ三
明治時代に出版された植物図鑑。ホシクサはイグサの一種として当時は考えられていたようです。
4.ジュンサイの図譜
Curtis Botanical Magazineより。新芽のゲルっぽい感じが良く描かれています。完全に彩色されたものは価格高めです。
5.水草いろいろ
EU原産の水生植物たち。彩色が不完全なもの。大体一枚1000円前後で買えます。
6.Rafflesia patma
19世紀前半にジャワ+αの島々の植生についてまとめられた植物本より。でっかいことは良い事だ。
草を求めて東奔西走コラム 2025年12月3号掲載
「サトイモからの誘い」
東南アジアを感じる植物は数多ありますが、その筆頭は“デカい“サトイモなんじゃなかろうか。
ジャングルのサトイモとしてはラシアが有名ですが、カリマンタンの水辺にもパッチがありました。
これ帰国後に気づいたのですが、L. spinosaじゃなくて西カリマンタンの固有種のL. concinnaだったようで、ちゃんと写真を撮っていた自分を褒めてあげたい。と、、、思いつつも、そういうあの時何故、気づかなかったのだろう的な植物はずっと記憶に残るもので、収まる事のない植欲としてずっと頭の中にあり続けるのであろうと思うとやり切れません。いつか入手したい。
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| Lasia concinna 葉がとにかくかっこいいですよね~。 |
という訳で最近はケースに収まらない抽水サトイモ科植物集めにハマっていたりします。
まだまだ見かける機会は少ないですが、近年はぼちぼち入手できるようになってきました。ラシア、キルトスペルマ、ティフォノドルム、ラシモルファ、ウロスパサあたりは探せば何とか見つかりそうです。行く行くはテラリウムに使ってみたいものですね。頑張ればいずれも食べられるので、非常食としても使えるかも?
今回はそんな魅惑的な抽水サトイモをご紹介させていただきます。
〇北米
北米のサトイモとしては、言わずと知れたペルタンドラ・ウィルギニカ(アローアルム)とオロンチウム・アクアティクムでしょうか。日本の夏は厳しいかもしれないと最近思いつつある。最近もカミハタから入ってきましたね。ペルタンドラはえらい立派な株が入荷しましたので買いかもしれません。
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| Peltandra virginica |
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| Orontium aquaticum |
〇南米
南米の抽水サトイモは極めて入手困難でしたが、近年Tanakayさんからワイルドのウロスパサが入手出来るようになりました。あとはたまに蘭展で海外業者由来のU. sagittifoliaが手に入ることがあります。モントリカルディアが欲しい。
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| Urospatha sp. Tanakayさん便のものうーんロマン。 |
〇東南アジア
ラシア、キルトスペルマあたりは入手できます。ラシアについては、日本で入手できるのはL.spinosaに限られます。アジア全体に広域分布しており、食用ですが、青酸が含まれており生では食えません。今年のイベントでは海外業者が斑入りを持ってきていました。需要どこにあるねんと思いつつも買いましたが(笑)。水中化するとAnubias giganteaっぽいです。キルトスペルマは数種類入手できますね。ジョンストニーが最も有名かもしれません。葉色に個性があり面白いですよ。
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| L. spinosa |
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| L.spinosa (斑入り) |
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| Cyrtosperma johnstonii |
ADAイベントで入手したもの。柄にインパクトがありますな。ADAの審査員ラジさんのファーム由来。
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| C.hambalii 葉がかっこE! |
〇アフリカ
ラシモルファとティフォノドルムがたまーにヤフオク等で入手できます。
ティフォノドルムはマダガスカル原産で5m級らしいですが、制御してみせる。ミズヤシとセットで是非。ラシモルファは以前はキルトスペルマの一種とされていますが、現在は独立しており一属一種です。
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| Typhonodorum lindleyanum |
さてこの先どうなるでしょう、、、
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| Lasimorpha senegalensis |
著者プロフィール
行動派水草ハイマニア面白い水草を求め日本のみならず世界を東奔西走。その収集力と育成技術、情報量の多さは計り知れない。
”草を求めてあっちにフラフラこっちにフラフラ。そろそろアジアをぶらつきたい。得意技は瞬間移動。”
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