Greenジャーナルvol.09 2024年11月1号

2024年10月31日木曜日

Greenジャーナル ベトナムの珍草を求めて 新着情報 水草 珍草屋Plants-Axis 熱帯魚 熱帯植物

t f B! P L

 


アピストグラマ sp. ジュルアエメラルド クルゼイロ


金曜夜のお楽しみ、Greenジャーナルvol.9 11月1号のお届けです

Greenジャーナルは水草、熱帯植物、熱帯魚など僕が個人的に気になったモノやイベント、入荷情報などを整理して記録、告知する備忘録的なウェブ連載です


日々情報が溢れて残らない時代に、本誌を通じて記録を残す事を試みています

この場を通じて新たな出会いや学び、楽しみが広がる一助になれれば幸いです


※主にショップや企業のHP情報やツイートを中心に構成していく予定です
個人のツイートで特に紹介したい!と思ったものはお声がけさせて頂くかもしれませんので可能であればご協力お願いしますm(__)m

今週末のイベント

体験型植物イベント NABOLO vol.8(名古屋市)10月25日~11月4日開催中

日本を代表するテラリウム作家たちによる苔テラリウム作品が集まり、ワークショップも開催される体験型植物イベントNABOLO vol.8が、10月25日(金)~11月4日(月)にgarage NAGOYAで開催中です

体験型と銘打たれている通り、作品の陳列だけでなく作家による苔テラリウムや情景盆栽のワークショップが多数開催されているそうなので、苔テラリウムを始めてみたい人、理解を深めたい人には特に良いイベントになりそうですね!

ファンとライトが合体している苔テラリウム専用照明、モスライトの実物を見る機会でもあるのでこちらも見てみたいですね~

ロハスフェスタ万博2024秋2nd(吹田市)11月1日~4日開催

LOHASな生活スタイルを提案する一大イベントロハスフェスタ万博が11月1日(金)~4日(月)まで大阪万博記念公園で開催されます!
ロハステーマということで飲食物の出展も多いのですが、マイ食器やマイボトルを持ち込むと料金が割引になるサービスがあるそうなので、アウトドア用の食器を持っていくのがオススメです
かなり大規模なイベントなので、家族連れで遊びに行くのもいいかもしれませんね!
ジメジメ的な注目はHanatsumugi greenさんが出展されてハイドロカルチャーのワークショップがあるそうなので見てみると良いかも

小品盆栽フェアー第32回秋雅展(上野)11月1日~3日開催

関東で開催される最大の小品盆栽イベント、小品盆栽フェアーが11月1日(金)~3日(日)まで上野グリーンクラブで開催されます
卓上でも楽しめる小品盆栽の展示数も多く、即売会としても大規模なものになっていますので、見に行ったらきっと出会いがあると思います
小品盆栽は小さな鉢に世界を表現する芸術ですので、アクアリウムやテラリウムにも共通する部分があり、お好きな方には必ず刺さる部分があると思います。是非!

東京海洋大学 学園祭「海鷹祭」(品川)11月2日~4日開催

東京海洋大学の学園祭「海鷹祭」が11月2日(土)~4日(月)に東京海洋大学品川キャンパスで開催されます

学園祭らしくライブや屋台や企画展示など目白押しですが、海洋大学らしく魚に関する展示やマグロ解体ショー(?!)なども開催されるそうです!

個人的な注目は動植物研究会による国内ミミズハゼ全種展示最近流行り?の全種展示ですね!講義棟2階で開催されているそうなので、お好きな方は是非!


第47回埼玉養殖魚まつり(加須)11月3日開催

埼玉県内の養殖業者やアクアリウムメーカーが集合する埼玉養殖魚まつりが、11月3日(日)に埼玉県養殖漁業協同組合 水産流通センターで開催されます
金魚、錦鯉、メダカの品評会や、メーカー出店、川魚料理販売、金魚すくい、埼玉水産研究所による魚なんでも相談など川魚に関する様々なイベントが催されます!
希少なタナゴの養殖で知られるオッケーフィッシュファームさんが参加されていますので、希少種を見る機会になるかもしれません!毎年盛り上がる穴場的なイベントですのでお近くの方は是非!

今週の気になる情報

10月23日

「奄美群島のソテツの生物文化遺産への脅威」論文掲載

近年問題が顕在化してきている奄美群島のソテツの歴史や現在差し迫る主な問題、外来種カイガラムシ被害をまとめた論文が発表されました

かなり壊滅的な被害になっていて景色が一変するほどの被害を受けていますが、今後島外への感染拡大が危険視されていて、農産物の持ち出しなどに規制がかかる可能性があります

今回の論文は奄美群島でのソテツの利用史や文化史を紹介しつつ、現状の報告をする内容となっていますので、是非ご覧になってみてはいかがでしょうか


10月30日

ミステリークレイフィッシュ、沖縄で国内初の定着を確認

メスのみで単為生殖する脅威のザリガニ、ミステリークレイフィッシュが沖縄県の池に定着してることが発見されました

熱帯魚業界的にはかなり前(2018年)に流通禁止になっており、問題になる前に抑えられてよかったなぁとか思っていたのですが、今更定着ということで寝耳に水です

現場は住宅街の中の池だそうなので、定着域が拡大しないことを祈ります

古くはウシガエルやアメリカザリガニ、マングース、ヌートリア、近年では千葉県のキョン、先日のやんばるでのニホンジカの確認のように、無責任な放逐によって環境に多大な影響を及ぼす事が多く、社会的に過敏になっていることでもあるため、観賞魚業界としても一層の注意が必要だと思われます

環境省では見かけ次第通報するように呼びかけていますので、見かけた方は通報しましょう

僕個人は環境保全に関わっているわけではありませんが、趣味家としても注意しないといけないことが多いなぁと思う今週の動向ですね…


新着情報

Hyphessobrycon sp.”nievas”

ファラガテトラ系の新着魚、非常に美しく複雑な色味を持つカラシンですね…これはたまりません


モンクホーシャ オーロラ ボリアル レッド(インボイス:MOENKHAUSIA AURORA BOREAL RED)

おなじく複雑な色味を持つ新種のモンクホーシャ、このシリーズは3種ほどカラーバリエーションがあるそうなので、今後も楽しみですね

オレンジデビルテトラ(インパイクティスsp.オレンジデビル?)

最近PV便で流通し始めた希少なカラシンがまとまって入荷。オレンジの派手な体色と体側下部に入るジャックナイフテトラの様な黒い線が非常に目を引く美種

アクアFさんが言及しているように、デビルテトラ系ではなくインパイクティス系の魚なのでインパイクティスsp.で呼んだほうが誤解を招かなくて良いのかもしれませんね



コラム

ベトナムの珍草を求めて〜②〜

前回の連載はコチラ

さて、いよいよ山の中に入っていく。少し急な滝沿いの岩盤を登り、そのまま藪に突撃した。藪漕ぎをするとまもなく、獣道が出現した。と、ここで視界の端に、毒イモの気配を感じた。テンナンショウである。

Arisaema rhizomatum 

Arisaema rhizomatumの仏炎苞


遠目にもわかる大きさのそれに駆け寄ると、Arisaema rhizomatumである。Sect. Decipientaに属す一群で、中国南部からミャンマー、インド、ベトナムなどで見られる。このSectionの形態の変異が大きく、大まかに3種類に分けられているが、今後細分化される可能性もある。終わりかけの花ではあったが、大変良いものを見ることができた。


Ardisia sp.

Ardisia conspersa


少し獣道を進むと、今度はArdisiaの一種が目に入る。ボコボコとした葉で背が低い。大変に面白いものだったが、ベトナムからのArdisiaの輸入は少し面倒なので、採取は断念。近くにはArdisia conspersaもあり、どんどん面白い植物が出てくる。


Riccardia sp.


滝の源流を迂回する形に歩いたので、滝の最深部だろうか、水が滲み出る垂直の岸壁にたどり着いた。ここではRiccardiaの一種を見ることができた。いわゆるアクアリウムで流通するプレミアムモスである。少量のみ採取し次へ向かう。


Arisaema decipiens

今度は滝の源流域の小さな沢を歩いていく。と。ここでも毒イモの気配が。沢沿いの急斜面、Arisaema decipiens(P.B.氏私信)だった。

先述のA. rhizomatumとよく似ている、というより現状同種とされることもあるが、花序付属体の形状でおおよそ区別できる(中には中間型もいるようだが……)。


Arisaema menglaense
慌てて撮ったためピントがボケてしまっている、もったいないことをした


そしてすぐ脇に別種の毒イモが。これはA. menglaenseであった。栽培が非常に難しい印象があるテンナンショウで、セオリーに忠実に栽培したがうまく育つことがなかった。

のちに分かったことだが、本種はとにかく水を好むようで、思い返せば今回見つけた自生地も株元はわずかに水が流れており、ほとんど抽水と言って良い状態だった。

本種は元々2004年に中国雲南省南部から記載されたが、2020年にベトナム北部からのNew RecordがInternational Aroid Societyに記載された。分布域はそれなりに広そうに思う。

テンナンショウについて書き殴ったところで、今回はここまで。このあとはこのまま沢沿いを進んでいく。


次回に続く


著者プロフィール

ねめ-大竹洸希-
珍草屋Plants-Axisの代表を務める。

サトイモ科テンナンショウ属を中心に、山野草や水草、熱帯植物、乾燥地帯のものや球根植物、木本など多岐にわたる植物を扱っている。
夜型人間でありかなりのこじらせ系厄介オタクである。


表紙



アピストグラマ sp. ジュルアエメラルド クルゼイロはカカトゥオイデスグループに近縁なアピストグラマの一種である

ブラジルはジュルア川流域に産出するアピストの一種で、2000年代に入ってから見出された魚であり観賞魚としての歴史はまだ浅い種である

名前のクルゼイロ(南十字星の意)はジュルア川流域にある小さな街に由来するそうだ

ジュルア川に産出するカカトゥオイデスグループのアピストといえばユルエンシスが有名だが、ユルエンシスと似た扱いで飼える魚だと思う

名前にもあるように身体に散りばめられたエメラルドのような青緑色のラメが特徴で、チェコのヴィルヘルムブリードには全身ギラギラの個体がいる

ジュルアエメラルドは"ツインバー"と呼ばれる、尾びれの上下端に赤が乗るタイプが希少とされているが、累代でツインバーを固定しようと国内でもブリーダー各氏が奮闘している

最近はWCの個体の入荷がほとんど無いため、CBで大切に維持していきたい魚である


Postscript

Nesaea pedicellata 'Golden'

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