Greenジャーナルvol.42 2025年7月3号

2025年7月25日金曜日

Greenジャーナル 水草、果てしない挑戦の数々 熱帯植物

t f B! P L

写真ご提供:けんなかさん

金曜夜のお楽しみ、Greenジャーナルvol.42 2025年7月3号のお届けです! Greenジャーナルは水草、熱帯植物、熱帯魚など僕が個人的に気になったモノやイベント、入荷情報などを整理して記録、告知する備忘録的なWeb連載です 日々情報が溢れて残らない時代に、本連載を通じて記録を残す事を試みています この場が水草や生き物との出会いや楽しみ、学びが広がる一助になれば幸いです ※主にショップ様や企業のHP情報やツイートを中心に構成していく予定です 個人のツイートでも特に”紹介したい!”と思ったものについてはお声がけさせて頂くかもしれませんので可能であればご協力お願いしますm(__)m また、弊blogでは常に表紙写真をご提供して頂ける方を募集しております! 是非皆様の素敵なお写真で紙面を彩らせて頂ければと思っております 掲載の体裁上、お借りするお写真は一部カットさせて頂くこともあるかと思いますのでその点のみご了承ください よろしくお願いします


今週末注目のイベント

プロトリーフゆめが丘ソラトス店 洋ラン&観葉植物即売会 7月26日、27日開催

プロトリーフの直営店の一つ、ゆめが丘ソラトス店(横浜市泉区)で洋ラン&観葉植物即売会が7月26日(土)、27日(日)に開催されます
主な出店者としてオーキッドバレーミウラさんが参加されていますが、洋ランや変わった地生ラン、観葉植物に強いお店なのできっと面白い出会いがあるかと思います
また、27日にはラン王子でおなじみの清水柾孝さんの洋ランセミナーも開催されるということで、ランがお好きな方は是非!

熱帯雨林植物即売会(スーパービバホーム茨木目垣店)7月26日(土)開催

テラリウムを手掛けるJaporiumさん、熱帯植物の輸入販売、特に珍しいベゴニアの販売に力を入れているトイ吉園芸さんがスーパービバホーム茨木目垣店にて7月26日(土)に即売会を開催されるそうです
ホームセンターの園芸コーナーということで、家族連れでもアクセスしやすいのではないかと思います。
Japoriumさんによる有料テラリウム制作ワークショップも開催される(要予約)そうなので、始めてみたい人には良い機会になるかもしれません
ご興味のある方は是非!


アクアリウムタイム(仙台市)合同即売会7月27日(日)開催


杜の都仙台の熱帯魚店アクアリウムタイムさんで恒例となった植物即売会が27日(日)に開催されます
熱帯植物全般に強いモレ吾郎さんや、ホマ、クリプトコリネやブセに強いAqua plus+さんが参加されているため、東北地方でジメジメがお好きな方は是非参加されてみてはいかがでしょうか?


今週の気になる情報

神代植物公園 夏休み特別企画「食虫植物展」7月29日~8月11日まで開催

東京都調布市の神代植物公園にて、毎年夏に開催される「食虫植物展」が7月29日(火)~8月11日(月)まで開催されるそうです
ウツボカズラやハエトリグサなどの定番の品種から、高地性のヘリアンフォラや高地性ウツボカズラなどの珍しい品種も多数展示されるそうです
また食虫植物やグッズの展示販売などもあるそうで、食虫植物好きにはたまらないイベントになりそうですね!
  

ピクタ 水草にも観葉植物にも使える新資材「TERRA BATE」発表

以前よりピクタの陶さんが開発していた観葉植物にも水草にも使える新しい肥料「TERRA BATE」が発表されました
溶けにくさや持続時間、成分のバランスなどにもこだわり、かなり時間をかけて開発されていたものなので、発売が待ち遠しいですね
水草の底床肥料としての使い道についてはDISCOVERYさんがテストをされた模様をblogで挙げられていますので、ご興味のある方は是非ご確認ください!
発売が楽しみですね!


ADA「ちいさな水辺セット」期間限定販売

ADAの夏季商品、ちいさな水辺セットが発売されました
20cmのネオグラスエアに専用ハンガーで侘び草を載せて、植物の浄化能力のみで小さな生き物が生きるバランスドアクアリウムを作る水槽セットです
窓辺において植物や小さな生き物の育成を楽しみつつ、力強く水上に伸びる水草の姿も楽しめる…
というコンセプトですが、窓辺で管理するには最近の気温は高すぎるので、北向きの窓辺に置くかマグネットライトとスタンドを追加で買って涼しい場所で管理する方が無難かと思います


ペット通販ネオス夏のプレゼント抽選キャンペーン開催中


ット用品通販のネオスさんが夏のプレゼント抽選キャンペーンを開催中です!
今回のプレゼントはGEXのグラステラリウム6045だそうです!
Xをフォロー、当該ツイートをRTするだけで応募できますので、ご興味のある方はぜひ!


新着情報

 今週はお休みです

コラム

水草、果てしない挑戦の数々

水草の“溶け”に関しての一考察 



 水草は何故溶けるのか、としばしば思う。 
肥料をやって、大きく素早く育ったものほど、溶けやすいような気がする。いっぽうで、大きく、頑丈に育った水草を見ることもまた、しばしばあって、見るたびに、上手いなあと思う。そして、フィルターを強くすると水草が溶けにくくなるだとか、肥料をやりすぎると溶けやすくなるだとか、いろいろ言われている。 では…溶けるとはどういうことだろう? 

細菌感染による軟腐病ないし、そのたぐいである、と私は捉えている。他の要因で溶けるという説も趣味家の間ではしばしば聞かれるが、そもそも水生植物がわざわざ溶けることによってなんかしらの適応意義があるとは、どうも私には納得できない。

 植物の細菌防御はクチクラによる面が大きいといわれており、陸上植物において感染門戸は気孔と傷口が重要とされる。しかし、水草はクチクラを薄くし、葉表面からのCO2吸収効率を高めている。ゆえに水草は細菌防御に関して陸上植物に比べて不利なのではなかろうか、と予想できる。ドラセナやヘミグラフィスをはじめとして、水中に沈めた陸上植物はしばしば、水中に適応できる“本物の”水草より“溶けにくく長持ちしやすい”。

 ほかにも細胞壁を強化し、分解速度を遅らせるような物質…たとえば葉に含まれるリグニンなども葉の防御に関係する。シダやヒカゲノカズラの葉は重量ベースで多くのリグニンを含むことで知られているが、切り取って水中に沈めると数週間、時に数か月もつことがある。ヤマトヌマエビの梱包材がシダだったり、ベタファーンとしてわざわざ輸入されたり、産卵床にヒカゲノカズラが愛用されるのもうなずける。



 ほかにも関与するのが、必須栄養素やpHといった細菌側の要因である。たとえば、泥炭の分解速度にはpHとN、P濃度が大きくかかわることが知られている。一般に低pHでは細菌生育が抑制される。細菌にとって重要性の特に高い栄養素もまた、N, P, Kである。Nはアミノ酸に、Pは核酸に、Kは細胞内電解質に必須であることを考えれば納得できる。

さて、肥料を足したら、水草が溶けた――よく経験される話である。 

これは水草に限ったことではなく、野菜などでもN過多で軟腐病が頻発するので、似た類の現象だろうと思われる。野菜の場合は成長の促進に対して細胞壁の形成が不完全になることや、リグニンの合成系(フェニルプロバノイド系)が抑制されるなどがいわれている。 水草においても同様のことが起きるはずだが、水中においては、水中の濃い肥料——N、P、Kの存在自体が細菌増殖を促進するという可能性も考えられる。 南米水草やクリプトコリネなど、低pHに適応した水草ほど溶けやすいといわれがちだし、他の水草でもpHをあげると溶けやすい。これは、低pHに適応した水草は細菌に対する防御力が低く、高pHにおける細菌防御に支障をきたすためかもしれない。 

もうひとつ、フィルターをきかせると、溶けにくくなるといわれている。 

これは単純に水槽における細菌叢の安定(⁂細菌は硝酸態窒素も取り込めるものが多いので硝化作用がそこまで効くかは怪しいと思う)とも考えやすい。しかし、あえて他の面にも注目してみよう。水流に応答して水草のリグニン合成能やシリカ含有量が上昇し、強度が上がることが知られている(Schoelynck et al., 2015)。先にも述べたように細胞壁の強度は細菌防御と直結するので、水流を利かせて育てた水草のほうが溶けにくいと予想される。 

だろう、かもしれない、予想される、といった文言ばかり並ぶ文章になってしまったが、水草はいまだわからないことだらけであるゆえ、致し方無い。 

Schoelynck, J., Puijalon, S., Meire, P., & Struyf, E. (2015). Thigmomorphogenetic responses of an aquatic macrophyte to hydrodynamic stress. Frontiers in Plant Science, 6, 43.

著者プロフィール


4.04

今まさに失われつつある水草のある景色を求め、日夜フィールドを彷徨い記録している

"いつまでもあると思っていた。
ようやく手が届く、そう思ったとき、もう何もなかった。
空虚と無念と後悔は、記憶と合して憧憬を生む。その先が過去なのか、未来なのかは、もはや朧げで。
ただ私を引き込んでいく。もっと知れと。

ここを翌年訪れた時、もう水草はなかった。しかしいまでも夢に出てくる。"




追記:僕が溶けについて思うこと

水槽セット初期、ミクロから溶け始め、ボルビ→有茎草と溶けが広がった

水草が溶けるシーンは様々あるが、個人的に溶けが特に見られるのは水槽立ち上げ初期と他の水槽からの導入直後、それ以外にはシダ病や深緑系エキノドルスの部分枯れ、クリプトコリネやブセファランドラ等の水中での溶けはおなじみの現象ではないだろうか

立ち上げ初期の溶けの原因として考えられるのは、細菌叢の不安定(によるアンモニアによる直接的なダメージ)、pHやKHのギャップによる急激な環境変化のストレス(水あたり)、移動によるダメージが考えられる
シダ病やサトイモ科植物によく見られる溶けや穴開きは細菌感染の影響でなかろうかと思う。深緑エキノの部分枯れは高水温のストレスの影響が大きいかなぁと思っている

今回4.04さんが挙げられていた追肥によるNPKの濃度の影響というのは個人的にはあまり経験がなく、あまりピンときていなかったが、別件で、外部フィルターパイプ内部に苔や汚れが蓄積するタイミング(つまり濾材の目詰まりと同義である)で放置していると、魚にはエロモナス症が発生しやすくなり、同時期に水草が溶けるような経験があり、個人的には飼育水中の有機物の蓄積が影響しているのではないかと考えていたが、その点について4.04さんに意見を求めたところ、まさにNPK濃度の変化によって細菌が増加しているのではないかという意見を頂いた(そう言われてみるとよく見る溶けの一症状かもしれない)

約三十年も水草を育てていても、未だに原因が分からないことばかりである。特に今回のコラムで語られた細胞壁の厚さの視点は持っていなかったので新しい視座を得た



昔はクリプトコリネは植え替えると溶けるモノ(一度溶けてから新しい環境に順応すると言われていたと思う)という認識が結構強かったように思うが、近年は以前よりかなり溶けにくくなっているような気がする(WCの直輸入株の導入は相変わらずヒヤヒヤするが…)

これは輸入や移動の改善、問屋での草体のケア、組織培養株が増えたことによる影響が大きいのではないかと思っている

また育成の手法として、水草を購入してきたらすぐに植えることはせず、植栽予定の水槽に浮かせておいて、一週間ほど新芽や根が動くまで放っておくという手法も以前よりも広く知られるようになってきたと思う

上の手法は何が奏効しているのかは分からないが、これによって以前よりも水草の導入で溶けは減っていると感じる(特にクリプトとブセには有効だと思う)

陸上植物でも移動と植え替えは同時にするべからずと言われており、おそらく移動(環境の変化)と植え替え(草体への追加ダメージ)を同時にしないことで、草体へのストレスを減らす効果があるのではないかと思う

ヘテランテラsp.パラグアイ。良い水草だが導入時に溶けやすい

4.04さんが触れているように、過去において南米水草の多くも溶けやすいと言われていた。
当時はpHやKHショックだと言われていたが、改めて見直してみると彼らの多くは湧水やタンニンの多いブラックウォーターといった細菌の少ない清浄な環境の出身が多く、生体が多かったりでpHが上昇して細菌が多い環境に弱い側面はやはりあるのかもしれないと思う。それは奇しくもネグロ川由来のアピストを始めとした低pHに生きる魚たちの飼育における留意とも共通する視点であり、水草もまた生物であることを忘れてはいけないのかもしれない(クリプトやブセもまた同じような環境である)

相変わらず経験則に拠る根拠に薄い駄文になってしまうが、感覚で飼育するとこんな感じになりがちである…
皆様におかれましてはサイエンスを追求しエビデンスを求めるアクアリウムをなさいますよう

(反面教師green)


表紙

ボララス マキュラータ?(Boraras maculatus?)

ボララスの仲間は最大でも2cm程度と非常に小さな魚種であるが、その小ささ故に小型水槽にスケール感を出せるため非常に有用な種である
というレイアウト的なあれこれは横に置くとして、ボララスの仲間はいずれも際立つ個性が魅力的で昔から愛されている小魚だと思う

マクラートゥス、ミクロス、ナエブスは3点の黒点模様、ウロフタロモイデス、ブリジッタエは体側に細長い線が入り、メラーは体側の細長い黒点が短い
マクラートゥスとミクロス、ナエブスは体型の違いがあり、マクラートゥスはスリムな体型であるがミクロス、ナエブスは体高が出て成長するほど寸詰まりな感じになる
ウロフタロモイデスは線が濃紺で線の上にオレンジのラインがあり体高が出る、ブリジッタエは線が緑でやや細身、全身が赤くなる
ブリジッタエのメスや若魚は細長い黒点模様がはっきりと出ないため、メラーと区別がつきにくいが、ブリジッタエは尾鰭の上端下端に赤い色が入るため、じっくり見比べると見分けがつくかもしれない

とはいえ、結構ロカリティによる差もあるので本当に合っているかは難しい
表紙の魚はマキュラータと思われるが、マキュラータと言い切るにはちょっと模様が典型例とは異なっているように思う。しかしミクロスやナエブスの体型とは異なるのでマキュラータだと思うが……

答えは後でけんなかさんに聞いてみます
※やはりマキュラータであっていたようです!よかった!




週刊「自宅田園ビオトープを作ろう」vol.11

一週間のご無沙汰です
水中から出てきた細長い葉は大分育ってきました
何かしらのカヤツリグサの仲間だと思いますが、今のところ判別はつかないので”細長イ”とでも名付けておこうと思います
また、水中にいる丸葉がゆっくり育っているので、こちらの今後も楽しみです
苔が結構発生してきているのでそろそろ何かしら対策しないといけないかなと思う今日このごろ
また大きめの生き物は居なくなってしまい、現状ミジンコがすいすいしている状態です

さてはてこれからどうなるかな?楽しみです




PostScript

ギニアンロタラ


疑問を持ったことは自分で調べようと思った今日この頃です
眼の前の板も液晶も、自分で情報を調べることができる端末であることを我々はつい忘れてしまいがちだなと思います

(green)

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