Greenジャーナルvol.35 2025年5月4号

2025年5月23日金曜日

Greenジャーナル 新着情報 水草 水草、果てしない挑戦の数々 熱帯魚 熱帯植物

t f B! P L
オデッサバルブのレイアウト

(お写真提供:monoさん)

金曜夜のお楽しみ、Greenジャーナルvol.35 2025年5月4号のお届けです
Greenジャーナルは水草、熱帯植物、熱帯魚など僕が個人的に気になったモノやイベント、入荷情報などを整理して記録、告知する備忘録的なWeb連載です
日々情報が溢れて残らない時代に、本連載を通じて記録を残す事を試みています
この場が水草や生き物との出会いや楽しみ、学びが広がる一助になれば幸いです


※主にショップや企業のHP情報やツイートを中心に構成していく予定です

個人のツイートでも特に”紹介したい!”と思ったものについてはお声がけさせて頂くかもしれませんので可能であればご協力お願いしますm(__)m


弊blogでは表紙写真をご提供して頂ける方を随時募集しております!

是非皆様の素敵なお写真でご助力を賜われればと考えております

掲載の体裁上、お借りするお写真は縦長にカットさせて頂くことになると思いますのでその点のみご了承ください

よろしくお願いします


今週末注目のイベント

第五回天下一植物界 in HDC(神戸) 前半回5月24日、25日開催

年に一度の国内最大規模の植物のお祭り、第五回天下一植物界の前半週がHDC神戸で5月24日(土)、25日(日)に開催されます
前半週と後半週で出展されている業者が異なるため、事前にしっかりチェックしておきましょう!
ジメジメ植物は後半週の方が強いのかな?という感じですが、どちらも楽しそうなラインナップで見ているだけでワクワクします
当日の抽選などについてはルールがHPに記載されていますのでご確認下さい
行きたいな~!!!!!_(:3」∠)_



アクアリウムバス(浅草)5月25日(日)開催

関東では生き物マーケットなイベント「アクアリウムバス」が都立産業貿易センター浅草館で5月25日(日)に開催されます
今回は3階に分かれているのでのんびり買い物ができるかもしれませんね
個人的な注目は若いエネルギーが集まっている「青年水草協力隊」ブースでしょうか。きっと面白い水草と出会えることでしょう

今週の気になる情報

日本ベタコンテスト2025出品事前予約を開始


日本ベタ評議会主催の日本ベタコンテスト2025の出品事前予約が開始されたそうです
今週末25日(日)まで募集されていますので腕におぼえのベタをお持ちの方は出品されると良いかもしれません
ちなみにコンテストは大阪国際交流センターにて来週5月31日(土)に事前審査、6月1日(日)一般審査が行われるそうです


これまで分解しないとされていた市販の釣り糸が海洋で生分解することを発見(九州大学)


釣り糸や養殖網など自然分解しない漁業系プラスチックごみ(ゴーストギアというそうです)の生態系への影響やマイクロプラスチックが昨今問題視されています
そのプラスチックごみのうち特定の配合比率の場合は生分解性があることがあることが分かったそうです
これは常識を覆す発見だそうで、今後漁具や遊漁の釣り糸などが生態系への影響を低下させる製品に切り替わるかもしれません


天野 尚 没後10年追悼企画 TAKASHI AMANO L PHOTOGRAPHY EXHIBITION 天野 尚 大判フィルム写真展 開催


ADAの創始者天野尚氏が2015年に亡くなってから10年にあたる今年、天野氏に関わる展示が開催される予定だそうです
先日まで大丸梅田店でアクアリウムのフォトパネル展が行われていましたが、6月25日から大丸東京店にて大判の写真展が開催される予定だそうです
写真展では天野氏撮影の代表的な写真が展示される他、近日発売予定の大判写真集が先行販売されるそうです

MonsterKiss【僕らの怪魚大全】 インドネシア・ボルネオの旅 小塚氏のボルネオ釣行動画公開中


怪魚釣りで著名な富山の釣り具メーカーモンスターキスの小塚氏のボルネオ、カプアス川の釣行動画がYoutubeにアップロードされています
東南アジアらしい?トラブルまみれの釣行動画で、釣り人目線でのカプアス川の一面を知ることができてとても興味深いです
とにかくトラブルが多くてプランツハンターの皆さんがよく仰るような話の目白押し。旅慣れてる小塚氏でこれですから恐ろしいですね…

津軽プレミアムリニューアル版が流通しているそう


愛用者も多い砂礫系の底床材「津軽プレミアム」がリニューアルされていて、粒感が以前のものよりも細かくなっているそうです
あの適度な粒感が使いやすくて良い砂だったのですが、より細かくなるとちょっと今までのような使い方はできないかなぁと思いますね…代替品を探さないとですかねぇ…

新着情報

Pareiorhaphis lophia(パレイオラフィス ロフィア)

新着ではないようですが、バイア州産のオトシン…ロリカリア?ゼブラオトシンのオレンジバージョン的な雰囲気で素敵ですね


コラム

水草、果てしない挑戦の数々

「水草と光呼吸 ~CO2を添加すると急激に育つのに、CO2なしだとすぐ枯れるのはなぜ?~」

ミズオオバコとスブタ



呼吸の話ではない。

CO2添加すると急激に育つし育てやすいのに、添加しないとなると一気にダメになる水草があります。なぜでしょうか。

今回はこれについて光呼吸という観点から、断片的な説明を試みてみようと思います。

光呼吸という言葉に耳慣れない方は多いと思います。名前は聞いたことがあっても、光合成と対になる反応、というイメージを持っている人も多そうです。

水草における光呼吸について話す前に光呼吸そのものについて説明すると、C3光合成は極めてザックリ言うと光エネルギーを用いてATP(アデノシン三リン酸:エネルギー)とNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸:電子伝達体、還元剤を作り、その過程で水の分解と酸素の生成が起きる反応(明反応ともいう)と、ATPとNADPHを使って二酸化炭素を固定するカルビンベンソン回路からなります。

二酸化炭素1分子の固定に3ATPと2NADPHが必要です。(この説明は超絶ザックリなので、各自勉強してください。)
このC3光合成がほとんどの植物に見られる基本形で、これにCO2濃縮システムがつくとC4光合成(強光、乾燥地帯の植物に見られる)やCAM光合成(多肉植物に見られる)などの名前がつきます。

なぜCO2濃縮システムがつくのかというと、カルビンベンソン回路においてCO2を取り込む際に用いられる酵素のRuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(通称ルビスコ)がかなりの曲者だからです。

ルビスコはまず極めて遅い酵素です。さらにルビスコはカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼとして、CO2を付加する反応と、酸素を付加する反応の両方を起こします。つまり二酸化炭素が不足し酸素が多くなると、酸素が付加されてホスホグリコール酸が生じます。

これはカルビンベンソン回路の強烈な阻害剤として働くので、これを処理する反応が起きます――これを光呼吸と言い、この処理にもATPとNADPHが必要です。

つまり、CO2不足はルビスコによる酸素付加反応とその処理によるATPやNADPHの喪失を起こさせます。1回の酸素付加反応あたり5ATPと3NADPHが消費されます。ルビスコが遅い酵素なのもCO2を使い切りにくいという点でメリットなのかもしれません。

さて――ここまで書くと、水草におけるCO2不足がどれだけ深刻な問題なのかよくわかると思います。
光呼吸は陸上においてすらC3光合成の光合成効率を2割~半減させるといわれます。水中では二酸化炭素の拡散速度が陸上のほぼ1万分の1であり、さらに溶存二酸化炭素はpHの上昇や水温上昇によって低下します。

つまり細胞内のCO2/O2比が低下しやすく、そのためシングルセル・C4回路(クロモやオオカナダモなど)、CAM回路(ミズニラはじめとして多くの水草)、重炭酸イオン利用(一部の沈水植物)など、CO2濃縮機構が発達しています。

ミズオオバコとスブタ


ヤナギスブタ


アクアリウムプラントとしてよく知られた植物では、ヤナギスブタ(ブリクサ属)はCO2専門、ミズオオバコ(オテリア属)は重炭酸イオンや炭酸イオンまで用いることができます。Liら(2025)¹では、低CO2条件においてミズオオバコの重炭酸塩利用が光呼吸を安定させていたのに対し、ヤナギスブタでは光呼吸が著しく上昇することを示しました。

さらにヤナギスブタではミズオオバコよりもルビスコのカルボキシル化速度が速く、CO2が不足しない条件ではヤナギスブタの光合成速度がミズオオバコを上回ることも示されました。


ここからは個人的な感想です。

二酸化炭素が不足しない条件を前提にした水草ではルビスコの触媒反応速度を上げても問題が発生せず、光合成を高速化する方向が有利になると思われます。一方で二酸化炭素が不足する条件ではルビスコの触媒反応速度上昇はCO2枯渇を招き、光合成速度を抑えたほうがむしろ適応的です。

そして、高CO2を前提とした光合成速度の速い水草をCO2枯渇させることは光呼吸による光合成損失を増大させ、著しく生育を悪化させることになります。
水槽での二酸化炭素濃度は不足しがちです。

そうした低CO2環境で生育可能な水草は重炭酸イオン利用能力が高い水草、とくにCAM、シングルセルC4などといった二酸化炭素濃縮能力が高い水草か、光合成速度が著しく遅くCO2枯渇を起こしにくい水草に限られる、ということになると思われます。

CO2添加なしでも急激に育つ水草は高い重炭酸イオン利用能力と高い光合成速度を併せ持つ、極めて特殊な水草です。とくにクロモは極めて広いpH適応幅、シングルセルC4回路、高い重炭酸イオン利用能力と、一見したところ究極の水草であるかのように見えます。それなのになぜ世界の水草が全部クロモのようになっていないのか・・・水草のニッチ分割はまだまだ分からないことだらけです。


1:Li, P., Liao, Z., Zhang, B., Yin, L., Li, W., & Jiang, H. S. (2025). Bicarbonate use reduces the photorespiration in Ottelia alismoides adapting to the CO2‐fluctuated aquatic systems. Physiologia Plantarum, 177(1), e70085.


著者プロフィール


404

今まさに失われつつある水草のある景色を求め、日夜フィールドを彷徨い記録している

"いつまでもあると思っていた。
ようやく手が届く、そう思ったとき、もう何もなかった。
空虚と無念と後悔は、記憶と合して憧憬を生む。その先が過去なのか、未来なのかは、もはや朧げで。
ただ私を引き込んでいく。もっと知れと。

ここを翌年訪れた時、もう水草はなかった。しかしいまでも夢に出てくる。"





週刊「自宅田園ビオトープを作ろう」vol.4


ビオトープの設置から約一ヶ月が過ぎました
この一週間程は水が濁るようになってきましたが、どうも水中が二層になっているようで
表層を排水すると下から澄んだ水が出てきます…何かしらの微生物が活動してるのかもしれませんね
酸欠になるといけないので約15cmで維持していた水位を10cm以下にして経過を見ています

植物は未だに生えず

ホウネンエビを掬ってみました

ホウネンエビは背中を下にしてせわしなくスイスイ泳いでいてなんとなく
メローでハッピーなバイブスを感じます
昔”シーモンキー”なんて名前でペットとして親しまれていたことがあるのもなんとなく納得できます
関西あたりの子どもにはメロンスイスイと呼ばれているとも聞きますが、いかにもメロン色でスイスイと泳ぐ姿は子ども心に訴える不思議な魅力ある生き物だと思います


カブトエビも掬ってみました

一方で底や壁面をコシコシと擦るように泳ぎ回るカブトエビ
なんとなくフナムシっぽさを感じるのですが、驚くのはその成長速度で初めて見かけてから日毎に大きくなっている気がします
そんなに長命な生物ではないと思うのですが、懸命に生きる姿は心を打ちますね…

そんなわけで現在カブトガニが2匹、ホウネンエビが4匹泳いでいる我が家の田園ビオトープの一月でした

そろそろ草が見たい!



表紙

今回はベテランアクアリストのmono氏からお写真をお借りしました
来週にはIAPLCの締め切りというタイミングなのでレイアウト水槽のお写真を…といった意図です

mono氏は第一回からIAPLCに出品されている国内屈指のベテランですが、個人的に氏の作風は天野氏の息吹を感じる物が多く好みの作品が多いです

近年のレイアウトコンテストは一見してインパクトの強い、画として作り込まれた水槽が上位を占めるようになり、それはそれとして美しく見どころはあると思うのですが、「ネイチャーアクアリウム」として見ると上位でも魚の扱いが随分ぞんざいだと感じるものが多いのが個人的な印象です



mono氏のレイアウトは魚が主役というか、水草と魚の両方が仕上がった調和のある作品が多く、天野氏のネイチャーアクアリウムの薫陶を感じます

画として強いレイアウトと比べてどちらが優れているという事はないのですが、やはり僕の魂にも刻まれているネイチャーアクアリウムの心は、氏の作るような水槽に惹かれてしまうなぁと思います

今回の水槽もオデッサバルブ(Pethia padamya)が最高に仕上がった燃えるような発色を見せていて、水草の緑とのコントラストに文字通り目を奪われる水槽だと思います


”小さな生命を愛せずして、大自然を語ることはできない”



PostScript

バナナプラント


第二回特集「僕達が好きだったADA」開催告知



今年の3月に皆様にご参加、ご協力いただき「エキノドルス」特集を公開することができました。お陰様で大変好評をいただき、幸甚の至りです

今週の気になる情報でも触れましたが、今年はADAの創始者である天野尚氏が亡くなり10年という節目の年になります

そこで、ファン目線での天野氏への思いやADA製品への愛を語る天野氏へのトリビュート特集を掲載したいと考えております

生前に氏との親交のあった方へのインタビューや、お気に入りのADA製品、ADAにちなむ思い出などを、皆様からコラムやレビューといった形で募集する予定です

ADA本体ではできないであろうユーザー視点の新しい発見や楽しみに繋がる特集になればと考えておりますので、皆様是非ご助力をよろしくお願いします

特集は秋頃公開予定を考えております

※特集タイトルが過去形になっているのは思い出話だからという意味であり他意はございません

(green)

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