鉢育成は沢山コレクションできるのが良いところ |
先日TBさんのお芋販売イベント「芋わるん」に参加してクリプトコリネを購入してきました
今回はこの草の導入を記録しつつ、僕が鉢でクリプトコリネを育てる際に実際に行っている養生、用土作り、育成について、自分なりに考えている事を書いていきたいと思います
ベテランの皆様から見るとカンチガイな部分も多々あるかと思いますので、気になる点があれば是非ご教示頂ければと思います
芋わるん
TeamBorneoさんの開催されたアグラ、ブセ以外のサトイモ限定即売会、芋わるんに参加してきました!
午前午後30人ずつで小さな会議室は熱気ムンムンでした |
人生初の一桁台を引きました… |
戦利品 |
ということで、今回購入したクリプトコリネはこちら
Cryptocoryne grabowskii "Muara teweh"Barito utara Kalimantan tengah[TB1011] |
1枚目:Cryptocoryne grabowskii "Muara teweh" Barito utara Kal-ten(2010年11月撮影)
— TEAM BORNEO (@TEAMBORNEO15) February 7, 2025
2-3枚目:Cryptocoryne grabowskii "Pangkalanbuun" Kotawaringin barat Kal-ten(2014年9月撮影) pic.twitter.com/mQKq3VB7k0
現地写真を見て一目惚れしたグラボースキーです!現地くらい立派に育てられるといいなぁ…
養生
クリプトコリネは裸苗で購入した場合、一般的に水中にしても水上株にしてもまずは水槽にしばらく浮かべておいて、根が動いてから植えると溶けにくいと言われています(クリプトの溶けについてはストレス、アレロパシー、アポトーシス、ウィルスなど諸説ありますが未だに原因が分からないですね…)
それを踏まえて、我が家では購入してきたクリプトは2日~1週間程度強めのエアレーションをしながら色々と添加した水のバケツに浮かべておくことが多いです
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今回は一株だけなのでバケツではなく大きめのプラカップに入れました
水は水道水でカルキ抜きは使ってません(加温するため細菌が増殖しやすくなる思われるため)
約400mlの水に添加したものはメネデール4ml(100倍)、オキシベロン0.5ml、リキダス2滴、グリーンゲイン(ADA)1滴、ECA(ADA)1滴
メネデールはあまり濃度は気にしていません。他はおまじない程度に添加してます
あまり色々入れすぎても良くないとは思うんですが、ついつい色々したくなるのは僕の優柔不断さが出てます
一応メネデールとECAは二価鉄、オキシベロンは発根促進、グリーンゲインはストレス低下、リキダスは総合栄養剤といった感覚で入れてます
この状態で強めのエアレーションをかけて放置します。冬は保温もお忘れなく
普段はこれで3日程度置いておくのですが、今回は2日で切り上げてみました
クリプトに限らず様々な植物の導入時に同じような処置をしていますが、これで草が溶けたことは今までないのでいつも行っています(ベゴニアだけは向きません)
ただこれが実際に効果があるのかは謎です
用土
前提として、わざわざ用土を配合しなくてもソイルやピート、赤玉土単用でも綺麗にクリプトを育てられている方は沢山いらっしゃるので、あくまで僕の場合の話です。そういうヤツもいるんだなぁ程度に参考にしていただければと思います
僕が使っているクリプトコリネ用の基本の用土配合は赤玉土1:日向土1にアマゾニア0.3、ほぐした長繊維ピート0.2です
配合だけでなくやり方なども基本的にはRootsさんがYoutubeで紹介されているヨーロピアン鉢物のスタイルを踏襲していますので、こちらを参考にすると安全安心だと思います
用土についてここが肝かなぁと感じているのは通水性、通気性、土の硬さのバランス、土壌pH、栄養、腐植質の量です
これらは僕が今まで趣味でやってきた山野草やガーデニング、家庭菜園などでも変わらない、植物育成のための用土の大切なポイントであると認識してます
そういう点では熱帯植物も温帯植物も変わらないと思います(大きく違うのは高温多湿でも傷まない有機質を使う点かな?)
なぜこの配合なのか?
クリプトコリネは自生地の状況から一部の愛好家の間で「ピートスワンプ系(酸性寄り)」と「渓流系(弱酸性寄り)」に大別されています。
例外的に中性の土壌を好む種類もいるようですが、基本的には上記の2タイプに当てはめて考えると足がかりになると思います
ピートスワンプ系は丸葉の品種が多く、名前の通り腐植質に富み酸性度の高いブラックウォーターの泥っぽい薄暗い水辺(沼地)に自生しているイメージです。
※スワンプと言っても細流がちょろちょろ流れていたりするので、文字通りの”沼”のイメージには縛られないほうが良いのかなと思います
渓流系は細葉の品種が多く、流れのある明るい渓流の中で揉まれながら生息しているイメージです
こちらは砂利底で悠々と流れに揺られているバイカモ的なイメージがありますが、流れている水は透明なものから白濁り、ブラックウォーターまで一様ではないので、細葉だからといって酸性が向いていないわけではない(例えばボルネオ島の河川の大半は弱酸性の水質です)と思います
僕が先ほど挙げた基本の用土配合は、大体のクリプトコリネにとって無難なバランスを意識したもので、更にそれぞれのタイプに合わせて微調整して使用しています
例えば、ピートスワンプ系クリプトを育成する場合は鹿沼土や長繊維ピートを追加して腐植質を追加してpHを下げます。一方渓流系クリプトの場合は日向土や桐生砂を追加したりして通気性、通水性を更に良くするように意識します
ちなみに渓流系クリプトをピートスワンプ系の環境で育てると全く育たないのか?というとそんなことはなく案外立派に育つこともあります
これはクリプトに限らない事ですが、植物の持つ環境適応力の幅広さ、現地環境を再現することが必ずしも植物の持つポテンシャルを最大限発揮する最適解とは限らなかったりするので、自分なりの目安は持ちつつ実際に育ててそれぞれの種類毎の最適な環境を探っていくことは園芸の奥深い、面白い所じゃないかなと思います
今回用意した用土
基本の用土に富士砂とミリオンAを足してみました。富士砂は鉄分のために、ミリオンAはおまじないです
赤玉土はpHがやや低く6前後であり、水はけ、保水性、保肥性がある用土です。珪酸、アルミ、鉄を多く含みリン酸を吸着する性質があるため、その分リン酸を肥料で補ってやる必要があります
今回使用しているのものは硬質赤玉土(非焼成)で、普通のものよりは若干粒が硬い崩れにくいものです。天然に由来する赤玉土は産地や場所で質が多少変わりますが、近年ホームセンターなどに流通している安いモノはかなり崩れやすいので、購入前によく選んで崩れにくいものを選ぶと微塵が出にくく長持ちします
ちなみに赤玉土を焼き固めた焼成赤玉土というものもあり、これは更に崩れにくいので場合によっては便利なものですが、焼いた赤玉土は要するにセラミックに近い性質になっているため、使う際は別物と考えて若干の注意が必要だと思います
日向土はpHはほぼ中性な軽石の一種で軽石よりは比重が重いため扱いやすい用土です。こちらは多孔質で水はけ、通気性が高く、用土が硬く締まるのを予防する作用があります
赤玉土、日向土共に粒が崩れにくい点を重視していますが、赤玉土だけでは徐々に通気性が落ちてしまい、日向土だけでは保肥性、保水性が低く、硬すぎて根張りが弱くなるので赤玉土を混ぜる…といった点を考慮しています
アマゾニアは黒土を丸く固めたソイルで、砂礫系用土に欠けている有機質の補足を期待しています。いわゆる栄養系ソイルであれば何でも良いと思いますが、崩れにくいものが理想です(ノーマルでもかなり細かいパウダー状態のものも混ざっているので土ふるいでふるって粒を揃えておくと理想的です
長繊維ピートモスはソイルと同様に有機質の補足を期待しています。ピートモスは泥炭という草や水苔の分解手前の最終段階のもので腐敗しにくく、pHが低く、更に殺菌作用を持つためマルチング材としても使用します。粉のピートは目が詰まってしまうので僕は使用していません
※酸性度無調整のものを使って下さい
富士砂は最近ブセに使っていて悪くない感覚を得ているのでクリプトにも混ぜてみようとお試しで入れてみます。性質としては鉄分が多く、多孔質で比重が高い硬い重い石です
ミリオンAは普段入れないことが多いのですが今回はなんとなく入れてみました…能書きはHPを見てみて下さい
用土で重視しているのは、通気性、通水性がよく、硬さのバランスが良く、微塵が出ず、肥沃で腐らないことです
こんな事をしないでもアマゾニア単用やピートモス単用でも育てることはできるのですが、用土を工夫をしてみるのも園芸の楽しみのうちだと思います
なおこの配合自体は盆栽用や室内観葉植物用で販売されている培養土(ex.プロトリーフ 盆栽の土、室内向け観葉・多肉の土など)など、小粒の砂礫用土で有機質肥料の入ってないものをしっかり微塵抜きをしたものでも代用可能だと思います(ピートモスやソイルを追加した方が良いかも?)
粒の大きさは鉢の大きさに合わせて替えますがクリプトの場合は小粒がメインで中粒を使うことはまずないかなと思います。2.5号鉢以下だと小粒よりも細粒の方が良いという意見もあります
用土の混ぜ方
赤玉土と日向土は事前にふるいがけをして微塵を抜いています。余裕があれば配合前に混ぜてふるいがけをして、さらにシャワーで流して微塵を徹底的に抜いておくと最後の水通しで出る微塵が減るので効率的です
ほとんどの園芸において微塵はデメリットしかないのでとにかく微塵抜きにはこだわってます。盆栽をやると微塵抜きの話は耳にタコができるくらい聞きますよ(笑
微塵抜きに使う園芸用の土ふるいは1セット持っていると何かと便利なのでオススメです
また用土の粒のサイズを揃えることも大切で、これは鉢内に団粒構造を作ることを目的としています。気になる方はググってみて下さい
土の混ぜ方は硬いものと柔らかいものを一緒に混ぜると柔らかい方が削れて微塵が出るので、硬いもの同士、柔らかいもの同士で混ぜて最後に全部を混ぜるイメージです(今回は映えを意識して順番間違えてます)
赤玉と日向をしっかり混ぜます |
富士砂、アマゾニア、ミリオンAを加えて更に混ぜます |
いい感じです |
長繊維ピートをほぐして混ぜます |
長繊維ピートは前日に水の中で揉んで湿らせておきます。混ぜようとしてもなかなか混ざらないですし、せっかく細かくちぎって入れても混ぜる途中で繊維同士が絡まって大きくなったりとなかなか手を焼きますので無理に混ぜる必要もないかなとも思います(通水性は下がりますが軽石の上に乗せてもいいかも
ピートモスを粒状に固めたセラのピートグラニュールや天然の粒状ピートモスというものもあり、そちらを使うと混ぜやすいですが、マルチングにも使うので長繊維ピートを我慢して使っています
毎回配合を考えるのも面白いですが、基本用土は暇な時にまとめて2~3L程度作っておくと使い勝手がいいです。配合はキチンとメモしておきましょう
植え付け
今回は兼弥産業のスリット鉢CSM-75を使いました
園芸では鉢は小さいものに植えて根が張るたびに鉢増ししていくのがセオリーとされています
今回の株の大きさを考えると2号・60サイズ以下が適正だと思うのですが、株にランナーが3本も着いていたので少し大きめの鉢を使うことにしました
大体スリットの高さまで鉢底石を入れます |
通気性を確保するためにまず鉢底石(軽石や日向土の中粒など)を入れます。もちろん洗って微塵を抜いてあります。崩れにくく通気性の高いものなら何でもいいですが、比重が高いもののほうが鉢が倒れにくくなります
鉢底石が見えなくなる程度に薄く用土を入れます |
鉢底石の隙間を埋める程度の用土を入れて、そこにマグァンプKやミリオンAをパラパラと入れます。マグァンプの量は僕は1号あたり中粒3粒程度(控えめ)を目安に入れてます。
セット時には根が肥料に触れないようにすることを意識して、撒いた肥料は更に薄く土を入れてカバーします
真ん中くらいまで土を入れ配置してみます |
真ん中くらいまで土を盛り、株を配置してみます
場所が決まったら用土を周りに入れます |
ピンセットでランナーの位置を調整 |
水通し
水を張って下から通したり、水を張った桶の中で鉢を振る方法もありますが、全部水没させるとパーライトや鹿沼土、一部の軽石のように浮力が強い用土の場合下から浮いてきて全てが台無しになるのであまりオススメはしません
管理タグ(テープですが)も忘れずに |
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