howto ブセファランドラの水上育成が7割成功する?簡単な方法(追記あり)

2024年3月21日木曜日

Bucephalandra アロイド ブセファランドラ 初心者向け 水上育成 水草レイアウト 熱帯植物

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今回は僕がブセファランドラの水上育成で試している誰でもできる簡単なやり方のご紹介です


ブセの水上育成は地味に難しい印象があって上手く行かない人もいると思いますが、我が家で約半年程度やってみて7割くらい上手くいく方法をご紹介したいと思います


ブセ可愛いですよね


水上育成アレコレ




いきなり結論から書くと、我が家で一番上手く行っているやり方は、サラダカップに無機用土を1cm程度敷いて、その上に1~2cm程度水苔を被せてブセを植えるというやり方です

ネットで検索してもあまり引っ掛かりませんが、ケージの違いはあれど同様のやり方でブセ育成をやっている方は実は結構多いと思います

以下に自分なりのブセの水上育成のやり方と考えを書いてみます(あくまで我が家では上手く行っているというやり方ですが、それぞれご自身でアレンジしてみてください

他に水耕栽培もやっているので、後半にそれについても触れてみたいと思います


必要な道具


・蓋ができる容れ物

・無機用土(鹿沼土、富士砂、日向土などの軽石、ハイドロカルチャーなど)

・水苔(ニュージーランド産であればグレードはなんでもOK)


容器

まず容器(我が家の場合はパリパリ麺のサラダカップ)は、単純に僕の好物なのもあるのですが深さ大きさがブセに丁度いいのと重ねた時に安定しやすいので気に入って使っています(大型のブセには小さいかも…)

買ってきたら容器から中身を丼に移して、おいしく頂いてから容器を中性洗剤で洗いましょう

蓋にはカッターで二箇所(蒸れるようなら4箇所など都度調整)くり抜いて通気用の穴を開けます

ダイソーの透明ケース等の場合は蓋をする時に隙間を少し開けるか、蓋にピンバイスで穴を開けると良いと思います(完全密閉だと蒸れやすくなるので通気を確保するのは大事だと思います)


用土



僕の育成法で容器の底に無機用土を敷くのは、水苔を容器に直置きすると底部が水に触れて痛みやすくなるので、それを予防するために用いています

要するに水苔を浮かせたいだけなので砂礫でなくても良いと思いますが、我が家のようにガラス以外の容器を使う場合は多少重さがあったほうが重心が下がって容器が安定するため、なにがしかの用土を使うのがオススメです(用土の持つ通気性も大事…なのかも?)

用土の微塵が残っていると見た目が美しくないので僕はふるいがけと水洗いをした用土を使用しています

完全に無機用土のみにせず、ゼオライトやソイルを混ぜてみたり肥料を入れてみたりと色々試してみましたが現状そこまで変わらないかなと思っています(栄養ゼロのハイドロカルチャーでも十分育ちます)

ほぼ密閉して維持する関係上、湿度が常に高くなるため有機質があるとカビが発生しやすくなる点は覚えておいてください(なので触る時も清潔を意識して下さい)


色々混ぜてみるのも面白いかも?


水苔


愛用のNZ産の水苔。高い…


水苔のグレードで育成具合が変わることはほぼないと思いますが、我が家ではとりあえずニュージーランド産の3A+を使っています

チリ産水苔はなんとなく戻した時のフワッと感が足りないのでちょっと違うなぁ…と思って我が家では使ってませんが、多分使ったら使ったで変わらないんじゃないかなと思います

使用状況にもよりますが、水多めの管理だと痛みやすくなります。そこらへんは割り切って草の状態優先でいいと思いますが、大体3ヶ月~半年くらいに一度交換してやるといいかもしれません


話は逸れますが、僕は乾燥水苔はその体内に糖分などの微量元素や抗菌作用(個人的に水苔のダシと呼んでます)があると考えていて、大量の水に漬けて戻すとそれらの成分が水に溶出して抜けてしまうと考えています

なので水苔を戻す時は袋に乾燥水苔を入れて、水苔の半量が吸い切るくらいの水(水苔3掴みに対して水100ccくらい?)を入れて半日くらいかけて戻します(途中で袋の上下を入れ替えます)半日後に戻った段階で全体がしっとりしていて絞っても水が出ないのが理想です

このやり方は洋蘭界隈では昔から行われているメジャーな手法で、古い園芸指南書を読むと載っていると思うので興味のある方は探してみてください

煮沸したり殺菌剤に漬けるというやり方も古くからありますが、先ほども言った通り個人的にはこれらの工程はせっかくのダシを削ぎ落としてしまう勿体ないやり方だと思っています(実際そういった処理をすると水苔が痛みやすくなったりコケに侵されやすくなるように思います)

そんな感じで用土に戻した水苔を乗せて、そこにブセを植えます




植え方


水苔でくるんで水苔に刺す


植える時は直接水苔に植えるのではなく、水苔で根回りをくるんでからベースになる水苔に差し込んでいます。この際ブセの茎部分は表に露出してる方が脇芽を出しやすくなるので巻き込まないようにしましょう

個人的には根同士はくっつかない方が具合が良いように思うので、茎は隠さないように注意しつつ根の間に水苔を互い違いに通してから根全体を包むように外側を水苔で巻いた球状にして、その塊を容器の水苔に差し込むように植え込んでいます(この際手の殺菌を忘れずに)


照明


水槽から漏れた照明で十分です

我が家の水上栽培では特に専用の照明などは用意していません

水槽の横に置いて水槽照明から漏れる光を当てている程度で十分育っているので専用の照明は必要ないかもなぁと思っています(そのうち比較もしてみたいですね)

ベテランの中には”ブセは光を嫌う”、”水上栽培では直接光を当てるとあまり良い結果にならない”と仰る方が多いので、そういうものなのかもしれません

水槽がない方は小さいLED照明を買ってきて、ビニール袋や半透明のアクリル板などを発光面に貼り付けて光を和らげると良いと思います

”光の拡散性”は最近のジメジメ界隈でのLED育成の注目ポイントみたいです。どんなLEDでも何かしら半透明のものを噛ますと植物が育ちやすくなる…とか?(そういえばADAのLEDはみんな発光面が半透明ですね…


ちなみにブセでも特に丈夫で知られるsp.シンタンを育てている時に、窓際に置いてカーテン越しに午前の日光を3時間くらい当てて管理していましたが、これはすこぶる調子が良かったです。品種によっては明るい方が調子が良いこともあるのかもしれません

※日光を当てる場合はくれぐれも蒸れに注意(密閉で25~27℃を超えるとほぼ蒸れると覚えておきましょう)

”ブセだから育成環境はこうだよね”と十把一絡げにせず、一種ごとに好みを探っていくのが正しい植物との向き合い方だろうなと思います

ちなみに濃色系の葉の種類は光が弱いほうが色が濃くなるように思います



添加剤


我が家ではあらゆる植物に使っています


あってもなくても然程変わらないと思いますが、おまじない程度にサンソが一番を用土と水苔の間にひとつまみ入れてます。入れていても蒸れたら根腐れしますので過信するものではありません



施肥


施肥は水苔に微量な栄養素があると考えているので直接はしていません(ブセにはあまり濃い肥料を与えるとストレスで溶けるという意見もよく見かけます)

一応気が付いた時(毎日~3日に1回くらい?)霧吹きで葉を濡らしてやるのですが、その時に霧吹きの水に他の植物にも与えている液肥を薄~くして(5000倍くらい)かけています


霧吹きについては以前にブセの水耕栽培をやっている方に興味深い話を聞きました

その方が試した範囲ではブセには直接シャワーで水滴が当たり続けている環境が一番成長が良く、次点で霧吹き、超音波式のミスティングはイマイチだったそうです

もともと渓流や渓流沿いの石など水しぶきがかかる場所に生えている草ですし、水が好きなんだなぁと思います (ミスティングがダメな理由はイマイチ分かりませんが)

その話を聞いてからなるべくこまめに葉水をやるようにして管理していますが、やはり調子が良いように感じています



日常管理について


先ほども触れたようにブセは渓流にいるサトイモで根周りの通気性、通水性を好む植物であるとされているため、ブセの育成が上手な方に育成のコツを聞くと異口同音に”水通しをする”と仰ります

水通しとは用土に水をかけて鉢内の老廃物や空気を押し流して入れ替える作業で、要するにただの水やりと同じで特に難しいことはないのですが、実は意外と加減(頻度)が難しいんじゃなかろうかと思っています

はじめの頃は”なんでもかんでも水を通せば良いんだろ?”と思って毎日せっせと水を通していたのですが、やっていくうちに”さては丁度いい加減があるな…?”と気が付きました

水通しについてはそれぞれの考え方があると思うのですが、我が家の場合は大体3日~週に1回の水通しが適切な加減かなと感じています


やり方は簡単で容器に水道水をジャバーとかけて、水苔部分を上から押さえながら容器を斜めに傾けて水を完全に切ります(この時用土がひっくり返らないように注意しましょう)

当然ながら温水や浄水、飼育水などの方が良いようにも思うのですが、色々やってみた結果我が家の場合は真冬でも無調整の水道水でも問題がなかったのでそのまま水道水を通しています

水通しの目的はあくまで老廃物の掃き出しと空気の入れ替え(酸素の補給)であるため、フレッシュな水の方が良いと個人的に思っています


また上でも触れましたが、容器育成では蒸れが一番の敵になります。少し調べるとでてくると思いますが、密閉状態だと気温25℃から蒸れが発生しやすくなり、27℃ではほぼ確実に蒸れます

気温の上昇する季節は容器の隙間をしっかり開けることや空調管理をして室温を25℃以下にすることも検討しましょう(夏は思い切って一度陸上育成を止めて沈めてしまうのもアリだと思います


残りの3割

我が家ではここまで書いたやり方で7割のブセは調子良く成長してくれました。

では残りの3割はどうなったのか?といえば、溶けました


この管理方法は元から水上で健康に育成された株を植える場合は問題なく適用できるのですが、水上でも弱っている株や、水中株をそのまま植え付けた場合、他には育成容器を日光で蒸らしてしまったり、逆に湿気を抜くために蓋を外して乾かしすぎた時に株にダメージが入って失敗することが多かったです

ブセの育成を始めてそんなに長くはないのですが、ブセは他の水草に比べると倍以上…3倍くらい?のんびりしている植物だと思います。例えば水上化なら最低2~3ヶ月はかかると見てじっくり環境を変化させながら取り組むべきだと考えます


特に水草として水中で長い時間を過ごした株の場合、いきなり水上にあげるのではなく腰水状態で葉も半ば濡らしたままの状態で湿度を保ちながら気中葉が展開するのを待つべきだと思います(水上化については後半の水耕栽培のところで触れます)

株の調子が良ければ3週間も待たずに半気中葉らしきものを展開し始めると思いますが、それでもまだ空中湿度は下げず、たっぷり2ヶ月は我慢してから水苔育成に移すと上手く移行できると思います

水上育成で弱っている株をどうするべきかはまだ経験不足で語るべきものはありませんが、根茎さえ腐らずに残っていれば時間はかかっても脇芽を出すことがあるので、溶けた葉はこまめに取り除き、カビが生えないように清潔な環境を保ちつつ根気強く待ちましょう


一度完全に葉が溶けた後に根茎から復活してくれた株






水耕栽培について


ブセファランドラの水上育成といえば水耕栽培!と思う方が多いと思います。僕もご多分に漏れず最初は鉢植えの水耕栽培から入りました



水耕栽培は無機質の用土に植え付けて密閉したり腰水にして育てることが多いですが、我が家ではこの方法ではあまり良い結果にはなりませんでした

より正確には”育つ種と育たない種が極端に分かれた”というのが正しいでしょうか?ブセには産地によって個性があり、水中適応能力が高い種類があることは知られていますが(クア1、2、クダガン、西カリなど)逆に水上栽培に向いている種類もあります(キシィなど)

草の個性はともかくとして、今にして思うと容器の密閉が甘く空中湿度が低かったり(逆に密閉が高すぎて蒸れた)、止水で水の酸素濃度が低く循環がなかったり、用土が合っていなかったり、管理がド下手だったり…etc…などなど上手く行かなかった理由はいくらでも思いつきます

では水耕栽培は難しいのかといえばそんなことはなく、家に水槽がある方なら難しく考えないでやる方法があります

それは水槽の縁に鉢を固定して常に根周りに流れが当たるようにする方法です


水位を調整するために鉢を重ねるなど微調整しましょう

我が家では百均のキッチン用吸盤ネットを水槽の上部に固定して、そこに鉢植えのブセを並べて育ててみました。この方法は試した全てのブセ(7種類程)で上手くいきました

管理の注意点は水槽(またはブセの直上)に蓋をすることで、これによって葉の周囲の湿度を保ちつつ、強い照明を遮ることができます(当然他の草にも影響があるので加減は悩ましいですが)

水上に移行する途中で萎れたり枯れた水中葉を放置しておくとカビることがあるのでさっさと取り除き、たまに完全に沈水させて株元の新陳代謝を図りましょう(水通しです)

あとは基本的にはほったらかしておくだけで勝手に育ってくれます。唯一の難点はレイアウトの見た目が悪くなる点でしょうか?

現在は先程紹介した水苔育成スタイルに水中葉のブセを移行するためにこの方法を使っています


の方法は大昔に上部フィルターの濾過槽に観葉植物のスパティフィラムを植えて、とてつもなく大きく育てた事があり、同じ渓流サトイモなら同じような環境を用意すれば上手くいくだろうと思って試してみたスタイルです



最近はちゃんとした?水耕栽培もやっています


最近いままでの失敗を糧に、ダイソーのシューズケースに水を張ってエアレーションで水を回しつつ、鉢植えにしたブセを腰水で並べて育てています

今のところ問題なくやれていて鉢の隙間からも根が見えるくらい育ってきているので多分上手くいくんじゃないかなと思っています(これから気温が上昇してくると蒸れが怖いかも?)

こちらは毎日の霧吹きと3日に一回の水替え、水通しを行っていますが、手をいれる頻度はもっと少なくても良いかもなぁと思っています

見た目どおり蒸し蒸しな環境になるため、蓋に通気孔を開けるか1cm程度蓋をズラして湿度を調整する必要があります

ブセに限った話ではありませんが、ジメジメ系植物で空気が循環しないタイプのケージを使っている場合、特に気温25℃以上に上昇した時に密閉していると蒸れが出やすくなり、草体にダメージを与えます

天気予報で暑くなるのが分かっている日は密閉は止めて隙間を空けるなど、部屋の気温には注意しましょう(特に27℃を超えると十中八九蒸れるものと思って管理をしましょう)


上手く行って欲しい



2ヶ月後…まずまず動いてます




まとめ


ブセの水上栽培について、いま思っていることをまとめると

・とにかくゆっくり成長する植物のペースに合わせる。自分のペースにはしない
・多湿大好き酸素大好きお水大好き葉水も大好きだけど止水と蒸れは大嫌い
・育成環境は常に清潔に保つ
・水通しは多ければ良いというものではない
・肥料分や光はそんなに要らない。ローカロリーな育て方が向いている

こんな感じでしょうか?

ローカロリーが向いていると書いたものの、例えば先述のシンタンなどは用土にアマゾニアを使うと異常な速度でがっちり大きな株に育ったりもするので、必ずしも全ての種類に当てはまらないと思っています

まずはローカロリーで試して色々草のご機嫌をうかがいつつ、徐々に環境を変えながら試してみるのが良いと思います


我が家の用土、日向土(軽石)が意外と大事っぽい



左の丸いのは何?と聞かれることが多いので、左はアクアテイクEオリジナルのワンダーソイル(ラージ)というソイルです

栄養が少なめ(大事)かつ、やや硬めの赤土系ソイルで、ブセに向いていると愛好家の間では言われています

スーパーラージというもう一回り大きいサイズもあるのですが、ラージと組み合わせて使うと更に良さそうです

三本線の赤玉土(ほぼ崩れないくらい硬い)が手に入るならそちらで十分なのですが、そうでない場合は使いやすいソイルだと思います(ふるいがけしなくてもいいですし水洗いも楽です)

なぜ赤玉土がいいのかは説明をしだすと長くなるので割愛しますが、弱酸性で鉄分が多くリン酸を吸着する赤玉土の性質が現地の土壌に近いと思って下さい



そんなわけで我が家のブセの水上育成法のご紹介でした

今回紹介した方法だけでなく、正解はいくつもあると思いますので皆さんも是非色々試してみてください






以下ギャラリー


シンタンは特に丈夫なので入門にオススメ



1カップにブセ3種と何らかのモスを植えてます



TB便縛り(混植は全然見た目が違うブセを植えましょう)


ナンガタマン、お気に入りです


AZ便縛り

ID便縛り


モスコレクションも楽しいですよ

上と同じねめさんのキャメロンハイランドのモスsp.

ウロコゴケsp.

トロピカルピローモス


アヌビアスも同じスタイルで育成できます


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