熱帯植物育成録 vol.1 Aglaonema pictum CW1302 '白モザイク' Sumatra barat【TB便】

2023年11月29日水曜日

TB便 アグラオネマ ピクタム 育成記録 観葉植物 熱帯植物 白モザイク

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重い腰を挙げて今回から熱帯植物についても書いていくことにしました
まずは我が家のアグラオネマ ピクタムからご紹介


Aglaonema pictum CW1302 '白モザイク' Sumatra barat【TB便】

今回ご紹介する白モザイクは数あるピクタムの中でも普及種ですが、独自性もあり魅力が詰まっている良い植物だと思います

※今回は僕のピクタム育成記録と、育成中に思ったことのメモみたいな感じの記事です。
すでにピクタムを育てている方には何を今更、いやそれ間違ってるよ?!という話題ばかりだと思いますが、初心者の方には何らかの参考になるかもしれないので生暖かく見守ってください


Aglaonema pictum


アグラオネマは主に熱帯~亜熱帯アジアに産出するサトイモ科の熱帯植物で、日本でも古くから観葉植物として扱われてきました

観葉植物としての有名品種はcommutatum種の'シルバークイーン'、'マリア'や映画レオンでレオンがお世話していた(後にNYの公園に植えられて枯れることが確定した)草でおなじみnitidum種の'カーティシー'、'ホワイトステム'などがあります(pictumも少量ながら流通していたそうです)

今回取り上げるpictum種は2009年頃に出射氏が採取しnaturaに卸したアンダマン諸島産の三色迷彩柄(toricolor:トリコロール、トリカラー)の通称'アンダマン'や、Azul aquariumの甲斐氏がニアス島で発見し当邦に輸入した'ニルヴァーシュ''エウレカ'などがブームのきっかけとなり、一時は猫も杓子もピクタムだ鶏唐(トリカラーの略)だと大騒ぎするくらいのブームになっていました

僕はピクタムのブームが加熱している頃は絶賛社畜をしていて、”アンダマン?とか素敵な柄だけど信じられないほど高い草があるもんだなぁ…”と横目に見る程度でした

今年アクア熱に火が付いて、水草水槽も一回落ち着いたあたりで、”ピクタム…そろそろやってみっか”と思い立ち、ネットで情報収集をしていると偶然にも強烈な個性を持った株、'白モザイク'と出会ってしまいました

いわば一目惚れ、ファム・ファタールとの出会いですね


白モザイク


ピクタムの'白モザイク'はTeam Borneoの季子氏が2013年頃に日本に輸入したピクタムの一表現(ジメジメ界隈でいうところのネームド)で、特徴的な丸みを帯びた葉に複雑なモザイク状の模様が入り乱れる魅力に溢れた品種です

同産地には’モザイク’と呼ばれる個体群があり、'白モザイク'は'モザイク'の中でも特に白の発色が強い選抜個体群に与えられた名前のようです

見ての通りとても素敵な植物なのでブームの頃は結構なお値段で取引されていたそうですが、導入から約十年が経過し今更入手したがる玄人さんはあまりいらっしゃらないようなのですが、価格が落ち着いたからといってその草の魅力が毀損されるわけではありません

僕のような初心者には過去に有名だった素敵な株をお安い価格で手に入れられるということで良いこと尽くめなわけです

この丸葉がとにかくcawaii!!


Twitterでたまたま見かけた余剰株の抽選販売、初めて見る白モザイクの素敵な柄に一目惚れしてしまい、即座に応募して抽選の結果購入することができました

この株を譲ってくださったへこみんさんは育種家というよりは趣味家寄りの方で、ご自宅で増やした質の良い株を良心価格で譲ってくださったり、梱包が丁寧で輸送、着状態を気にしていただけたりと、草と初心者に非常に優しい方です

購入後も株の状態確認やド素人の育成相談などにもかなり乗っていただいたりして、こんな良い人がいていいのか?と思うくらいの人格者なので、抽選販売がある時は是非応募してみることをオススメします(褒め殺しじゃないですよ?


到着


抽選に当たった後の取引連絡で、この頃(8月半ば)は連日35℃越えの猛暑日が続く酷暑だったこともありヤマト運輸の営業所止めをオススメされました

僕は完全に初心者なのでへこみんさんにお任せして営業所に送付してもらい、受け取りに行きました

営業所によって扱いは変わるとは思いますが、近所の営業所では冷房の効いている部屋で保管していただけていたので比較的輸送のダメージが少ない状態で受け取れたと思います

そそくさと家に持ち帰り開封!

開封の儀


この時は初めてピクタムを入手&送って頂いたのでイマイチよく分かっていませんでしたが、後から見直してみるとこの梱包は本当に丁寧で素晴らしいものだと分かります

輸送で株を傷めないためには箱の中でいかに鉢や株が動かないように梱包するか、具体的には天地を返されても茎が折れないように固定するかが大事なわけです

ジメジメ系植物の界隈は全体的にパッキングマニアみたいなところがあって、様々な方から植物を購入する度に”こんな梱包方法もあるのか!?”と驚かされたりしています

送り慣れていることもあるのか、へこみんさんの梱包はシンプルかつかなり高レベルなものだなぁと思います。植物に対するマジメさが現れているなあ…


双葉みたいでカワイイ♡


梱包を解いて早速取り出してみると、綺麗な模様の素敵な株が出てきました

株分けしてすぐにこんなカッコいい葉っぱが出ているなんて、なんてすごい素質を秘めた子なんだ…

…と、ド素人の時は思っていました(いまでも素人です


アグラオネマはサトイモ科の植物なので成長は大きく根に依存していますが、株分けした直後は根(芋)や茎(ある種の芋)に蓄えていた栄養を使って成長するため、葉っぱ2~3枚目くらいまでは親株に近い表現の葉が出せる、いわばスタートダッシュを切れる植物だと今は思っています(種からの芽出しに近い)

つまり、このスタートダッシュの後に出てくる葉を如何に綺麗にできるかが問題なのです…


養生開始

今更な話ではありますが、園芸植物は移動や植え替えの直後はやや湿度のある暗い環境で株を落ち着けさせることが大事だとされています

高温多湿の夏や低温カラッカラの厳冬期の移動、植え替えは特に株にストレスがかかりやすいので、しっかりと養生してやる必要があります

調べてみるとピクタムは熱帯の植物ではあるのですが、気温が28℃以上の状態が続くと調子を崩しやすくなるそうです

ということで、今回はしっかり冷房の効いた部屋で暗めにして養生することにしました


今見ると若干蒸れてる…

写真は気温は25℃、湿度は約80%で水槽にフタをして閉じ込めている状態です

偉そうに語っていますが、改めて見てみるとちょっとこれは多湿過ぎですね…湿度は大事なのですが加減が難しいと思います


この時は葉の重さに負けて茎がくったりと首を曲げている状態でした。これはピクタムを購入した初期にわりとよく見かけます

導入した株が健康で環境が適切ならば一週間程度でスックと立ち上がってくると思います

到着初日



二日目



三日目


一週間後

一週間でしっかり元気になってくれました!初めてだったので本当に毎日ドキドキしてました

株の発根状態や輸送時のストレス状態によってこの経過にはかなり差が出ます

今回は盛夏の国内移動でしたが適切な梱包と温度管理に気を遣って頂いたおかげでダメージが少なかったようです

僕はよかれと思って水をたっぷりとやり、結露するほど多湿のケースに入れてしまいましたが、今回はたまたま草が健康だったので根腐れしないで済みました(運が良かっただけです

今後紹介する予定の現地直輸入株の立ち上げでは盛大にやらかしているのでお楽しみ?に


何株か導入してみた現在、養生について個人的に気にしている点は、用土(水苔)を濡らしすぎない事と湿度を上げすぎない、下げすぎないこと(両方のバランスが取れていること)

輸送直後の個体は全体的にストレスで生理機能が低下しているので、根が水分を吸い上げる力も、葉が水を蒸散する力も落ちていて、用土の水分が多すぎると悪循環で根腐れしやすくなります

用土の水分については特に発送の時点で先方がしっかり水やりをしていて水苔がヒタヒタに水を吸ってるような状態ならば、一度水苔を絞るかティッシュなどを用いて水分を吸いとってもいいくらいだと思います

なんなら到着時点で一度株を抜いて根の状態を確認した後、自分で水分調節した水苔で巻き直したほうがいいのでは?と思っています(オススメではありませんが抜き苗で購入した場合はそうせざるを得ないことも多いです

これは受け売りですが、ピクタムは根だけでなく全草体から水分を吸収できるそうなので、輸送直後の株は用土がカラカラでなくある程度ケージの湿度が高ければ養生中はしても霧吹き程度で水やりは要らないと思っています(両者のバランスを取るのが大事)

湿度については一概には言えませんが、しっかりと根がある株の場合は完全に密閉するのは一日~ニ日程度で三日目には隙間を開けて60%~70%程度の湿度にすることが多いです

発根していない株の場合は密閉のほうが良いと思うのですが、この場合何よりも蒸れないようにすること、株や水苔、容器を清潔にしていないと根が腐ることも多いので慣れないうちは難しいと思います


もちろん個人的にこうすると良いと思っているだけで、全く別の養生方法もあると思うので話半分で聞いておいてください


約2週間後


養生開始から2週間して新芽のドリルが上がってきました!

ピクタム界隈?では根にしろ芽にしろ、株が落ち着いてなにかしら動き出した段階でひとまず養生期間は一段落と捉えられているようです

この時は同じケージに新しく買ってきた植物を入れて養生していたので、結局養生環境のまま白モザイクの育成に入りました


育成開始


またぐったりしている子が仲間入り笑



ドリル(新芽)が上がってきました


初めての新芽なのでワクワクです

毎日成長を見守りました



なかなか開いてくれない…笑





到着から約一月


焦らすなぁ…



どんな模様になるのかなぁ…



開き始めた新芽の中をチラリ…

開いたー!!!



ドリル確認から約一月、ついに新芽が開きました!

…が、白モザイクの特徴である白があまり乗っていなくてすごい地味…!!



届いた時点で付いていた葉と比べるとこの地味さ!


なんでこんなに地味なのか…と思って調べてみると、先述した通りピクタムは株分け後数枚葉を展開するまでは根茎部に残っていた養分を使うので親表現に近い葉が出るそうです

つまりこの地味な葉が今の環境で出せる精一杯の葉ということですね…

一枚目が完全に開いた時点でもう次のドリルが上がってきているので、成長自体は調子がいいようです



一枚目の葉が開いた後に、'メサイア'を譲っていただいたビバリウム東京さんにピクタムの用土管理のアドバイスを頂き水苔から用土に植え替えました

そんなこんなで…

二枚目!

右が一枚目、左が二枚目


一枚目の葉が展開してから二十日後に二枚目の葉が展開しました

一枚目は一月かけて葉が開いたことを思うとかなり成長が早くなりました。ピクタム界隈でいうところの”スイッチが入った”状態だと思います

一枚目と比べるとと模様がたくさん乗った"白モザイク"らしい綺麗な葉が出てきました!嬉しい!

とはいえ、最初についていた葉に比べるとまだ緑が薄く、白い模様も大味な感じなのでまだまだ成長の余地アリ…


とはいえ十分綺麗です


手探りながらニヶ月かけて育成してきましたが、やっと安定したなぁという実感があります

用土育成も今のところはうまくいっているのかな?先達の皆様のお力添えのおかげだと思います



現在

到着から三ヶ月

二枚目の葉が開いた後に色々あって用土を一度交換したのですが、その際に地下に巨大なタケノコがついているのを確認しました(びっくりして写真撮り忘れた)

またまたへこみんさんに相談させていただき(おんぶにだっこで申し訳ない)、来春に株分けをすることを視野に現在は取り木をかけています


三枚目の新芽も展開中…!


今回の新芽はかなり模様が細かくなってきてる気がします!これは期待できるのでは…??


とまあこんな感じでピクタムは時間をかけて理想の表現を追求していくのが楽しい植物かなと思います

成長したら株分けで増やす楽しみもありますし、花を咲かせて実生を狙う楽しみもあり、一株で二度三度と楽しめる素敵な植物なので皆様も是非お手にとってみてはいかがでしょうか?



まとめ


ということで、今回はピクタム育成初挑戦で'白モザイク'を3ヶ月育ててみた記録でした!

まだまだ株も僕の育成技術も成長中ですのでまた経過を報告したいと思いますが、腰を据えてじっくりと付き合っていきたいと思います


この白モザイクを手始めにその後も色々と産地違いのピクタムを購入して育成していますが、つくづく思うのはいかに最初に健康な株を手に入れられるかがその後の育成の鍵になるということです

有名なネームド株をなるべく安く手に入れたいという気持ちは僕も痛いほど分かりますが、メルカリに出ているような葉も根もない茎だけとか、株分けしたばかりの小さな子株ではなく葉数が多く、茎が太い、根も立派な成長の軌道に乗っている株を手に入れる事が成功への近道だなぁと感じています

ある程度育った株はその分値が張る事が多いですし、巡り合わせはご縁なので狙い通りの株を手に入れることは難しいとは思いますが、もしもピクタム育成を初めたいと思っている方がいたら葉が3~4枚以上付いていて鉛筆程度の太さの茎がある株を選ぶとスムーズに育成が開始できるかと思います

ある程度葉のある株の方がモチベーションも維持できるという点でもオススメです

※もちろん子株でも今回の株のように健康的な株を手に入れられれば特にトラブルもなく成長してくれると思います


そういう意味では良い株を譲って頂ける方に出会えるかが一番のポイントでもあると言えると思います

ピクタム初心者の方は、この株を譲ってくださり色々と相談に乗ってくださったへこみんさん、アドバイスをくださったビバリウム東京さんのように購入後も育成相談に乗っていただけるような素敵な方を探してみるところから初めてみてはいかがでしょうか?


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