コラムまとめ「革命前夜」著者:お魚繁殖ラボ

2026年2月27日金曜日

Greenジャーナル 革命前夜

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革命前夜 2025年8月1号掲載

「写真で"伝える"事」




私が熱帯魚飼育を始めたのは小学生の頃だったと思う。


親が第2次熱帯魚ブームの頃に使っていて、飽きて空になった水槽を譲り受けたのが始まりである。


家にあるフィッシュマガジン誌で一番古いのは、1974年発行のもので今から51年前のものになる。

魚の写真を撮りたくて写真撮影を始め、初めてFM誌の愛魚写真コンクールに応募し、初めて自分の写真が本に載った思い出のものだ。

写真は、その後昆虫などの写真を撮るようになり魚の写真は撮らなくなっていったが、還暦も過ぎ"何かを残したい"と思い、魚の写真集を創ろうと思った。


写真というのは、何かを人に伝える手段である。

魚の写真だとおそらく最も需要があるのは、図鑑的な写真だと思う。

写真で一番伝えなくてはいけない事は、その紹介する種の特徴を伝える事であり、基本的には魚を真横から写し全身を捉える事だろう。


しかし、私は、種の特徴よりもその魅力をこそ伝えたいと思っている。

自分が感じる魚の魅力を写真で表現したいのだ。

そんな写真を撮るのが好きだし、図鑑的ではない、魚の魅力を切り取った写真を集めて写真集を創りたい。


本日の写真、皆さんは何の魚か一目でお分かりになっただろうか?


正解はロングフィンカージナルアカヒレ。


この写真を見て、アカヒレと言い当てられる人は少ないと思う。しかし、アカヒレの持つ意外な魅力は伝わったのではないだろうか。



革命前夜 2025年9月1号掲載

「水槽の妖精たち」



長年の夢であった熱帯魚の写真集”Los duendes en acuario”を先日販売し始めた。

Los duendes en acuario とは、スペイン語で、”水槽の妖精たち”という意味である。
スペイン語で妖精という意味を持つ単語は幾つかあるが、Duendeとは、小悪魔的な妖精という感じのニュアンスがある。

私は熱帯魚を飼育する事は、他のペット飼育とは少し違うと思っている。普通、ペットを飼うというとその個体を愛でる感じがあると思うが、魚の場合は、”水槽を飼う”という感覚がある。いわば環境を飼育するのである。
適切に”飼育”された環境の中におかれた魚は、自然環境の中にあるがごとく行動を見せてくれる。写真を撮るのならそういった姿を記録したいと思っている。
この写真集も魚の持つ魅力を伝えたいというのがテーマである。

私が熱帯魚の写真を撮り始めたころは、カメラは全てフィルムだった。現像してフィルム一本全部ダメだった事も少なくはなく一喜一憂したものだ。

私にとってはホルスト リンケ氏の熱帯魚写真こそが目標だった。氏の写真が使用されたテトラ社のカレンダーを見ながら、めだか館Part1の筒井氏と騒いだ事が今でも懐かしく思い出される。
私の魚の写真はリンケ氏を目標にしてきたが、果たしてどれくらい近づく事ができたのだろうか?

100%満足できる写真は今でも撮れていない。何時まで続ける事ができるか分からないけど、少しでも完璧に近づく事が今の目標である。




革命前夜 2025年10月1号掲載

「熱帯魚の写真集」
Parosphromenus sp.Gelam


今回発売した写真集は68ページほどの本だけど、これらの写真を撮影するのには相当の時間がかかっている。

魚を購入してすぐに撮影とはいかず、しばらく飼育してコンディションを整え、ようやく撮影ができるようになるわけだが、リコリスグラミーなどは撮影できるコンディションになるまでに最低でも半年以上はかかる。

リコリスグラミーは繊細な魚であり、入荷直後のコンディションからなんとか状態を持ち直してもなかなか前に出て来てはくれない。当然ながら撮影のポジションに来てくれなくては撮影はできないため、餌でつってみたりして機嫌よく前面に来てもらうわけだが……そんな事を繰り返していると撮影できるまでにまた半年はかかる。 

リコリスグラミーは平常時は地味な魚だし、最高の色を出している時でないと撮影する意味はない。 しかも色が出ているのは一瞬である事が多い。リコリスグラミーの撮影は大変だが、その分いい写真が撮れた時には感無量である。


Betta dimidiata

表紙に使っているベタ ディミディアータの写真は、我が家で繁殖したF1の魚をモデルに使っている。

最初に購入した魚は、2ペア導入したが臆病だったりオスのサイズが不揃いで残念ながら撮影には使いにくかった 

そこで、それらの個体は繁殖に専念させて、生まれた子どもたちを撮影する事にした。
子どもをまとめて飼育していると良くケンカをする個体が現れたのでそれをモデルにしたわけである。 
実際F1の方が色の乗りも良く、堂々とケンカしてくれるので撮影は非常に捗った。 

 撮影に必要なのは、やはりモデルで、よいモデルがいてくれると撮影もスムーズだし、作品の出来も自ずといいものだ。

いままでも購入した魚でも色々粘ってみたもののよいモデルになってはくれず、撮影を逃した魚も結構いる…。



追記

及川さんの熱帯魚写真集「Los duendes en acuario」は及川さんのTwitterにてDMで購入できます
また、笹塚の熱帯魚店CAKUMIさんにサンプルが置いてあるそうなのでご興味ある方は是非!

(green)



革命前夜 2025年10月5号掲載

「カメラで撮るか、スマホで撮るか?」


 私が先日作った写真集は、すべてデジタル一眼レフで撮影している。
カメラで撮った写真とスマホで撮った写真は全く違う。昆虫写真を撮っていた頃は、一眼とコンデジを使い分けていたが、両者どちらが優れているより別物であると考えていて、作品を作るために使い分けていた。
コンデジはどちらかといえばスマホのカメラに近い。なぜならばCCD(Charge-Coupled Device;撮像素子)、銀塩の頃で言うフィルムにあたるセンサー部分は、一眼に比べると明らかにコンデジやスマホは小さいのだ。
小さいとどうなるのかというとボケが弱くなる。ぼかしたい写真は、一眼の方が有利だし、背景を残したい場合はコンデジを使う。





写真は、一眼で撮った写真だが、CCDが小さいと枠内のような写真になる。
一眼と同じフレームで撮ろうと思えば、さらに広角のレンズが必要になる。広角レンズは焦点距離が小さくなるとボケずに背景がくっきり写る事になる。一番の違いはここにあるが、一眼レフカメラであれば絞り、シャッタースピードを任意に設定できる。スマホの場合は撮影設定はオートフォーカスが前提なので普通にキレイな写真になる。
便利ではあるが、作者の意図をつぎ込んだ写真は撮りにくい。

今回の写真集のコンセプトは、”アートで自分が考える魚の魅力を写真で表現する事”なので、やはりどんな絵作りをするか私の製作意図を反映した写真を目指した。

スマホで撮る写真は手軽だしそれなりに綺麗な写真が撮れるはずである。しかし、私としては自身の愛魚の魅力を写す、そんな趣味が浸透してくれると嬉しい。

カメラなんてそんなに機能は要らないと思っている。私はマニュアルしか使わないので、中古で2-3万のカメラで十分。レンズは、マクロレンズ中古を探せば格安のレンズが見つかる。後はストロボさえあれば魚の写真は撮れるだろう。



相棒のカメラ


革命前夜 2025年12月2号掲載

「黒バックと白バック」

黒バックは、小さい魚のほうがやりやすく、大きい魚では難しい




水槽で撮影をする際バックの処理が重要になる。

水槽内は、ごちゃごちゃしていることが多いので余計なものが写りこむとバックが汚くなる。
撮影用にセットをするか、水草水槽であればバックは納得いくものになると思うが、普通に飼育をしている水槽だとそうもいかないことが多いと思う。
一番簡単なのが黒バックにすることだと思う。黒く写すためにバックに暗幕を張る必要はない。黒く写っているという事は、光の反射が無い事である。蛍光灯程度の光で、カメラの絞りを絞って、f16、SS1/100ぐらいで写すと多分写真は、真っ黒に写る。

そこでストロボの出番になってくる。正面から焚くのが一番いいけど、ガラス面にストロボ光が反射してしまうのでカメラからストロボをはずし、水槽上部にストロボを置くといい。この状態だとストロボの光だけで撮影している事になる。

ストロボの光が廻った場所だけが写真に写るわけである。魚を被写体とすれば被写体の回りに物がなければ黒くすっきりした写真になる。

それに対し白バックは難しい。水槽の中の魚を白バックで撮るのは簡単ではない。一番簡単なのは、白いどんぶりを使うと上手くいく。どんぶりに魚を入れてストロボ撮影するのが一番簡単かと思う。このように白バックはかなり難しいので、黒バックの撮影方法は上手く撮れるようになると見栄えのいい写真になるため知っておくと便利である。








著者プロフィール

おさかな繁殖ラボ:及川義明


ベテランアクアリスト&フォトグラファー

バルブス ヤエの繁殖など数々の育成難魚のブリーディングを手掛け熱帯魚雑誌への寄稿もされているベテランアクアリスト兼写真家

中米、南米、スリランカ、パプアニューギニアと広く海外に在住した経験から現地の風土を知る数少ない日本人でもある

パプアニューギニアの蘭を捉えた写真集を自費出版、更に今まで撮りためた熱帯魚の写真集「Los duendes en aqario.」を自費出版予定(green)


1998年頃ショーベタのブリーダーを廃業、その後、愛と花の大使として世界各地を巡る。

コロナ禍をきっかけに海外生活を辞め日本国内で「おさかな繁殖ラボ」を創める。


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