Greenジャーナル vol.57 2025年11月1号

2025年11月7日金曜日

Greenジャーナル ブセファランドラ 新着情報 水草水槽 熱帯魚 熱帯植物

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写真ご提供:あまみやさん

金曜夜のお楽しみ、Greenジャーナル vol.57 2025年11月1号のお届けです! Greenジャーナルは水草、熱帯植物、熱帯魚など僕が個人的に気になったモノやイベント、入荷情報などを整理して記録、告知する備忘録的なWeb連載です 日々情報が溢れて残らない時代に、本連載を通じて記録を残す事を試みています この場が水草や生き物との出会いや楽しみ、学びが広がる一助になれば幸いです ※主にショップ様や企業のHP情報やツイートを中心に構成していく予定です 個人のツイートでも特に”紹介したい!”と思ったものについてはお声がけさせて頂くかもしれませんので可能であればご協力お願いしますm(__)m また、弊blogでは常に表紙写真をご提供して頂ける方を募集しております! 是非皆様の素敵なお写真で紙面を彩らせて頂ければと思っております 掲載の体裁上、お借りするお写真は一部カットさせて頂くこともあるかと思いますのでその点のみご了承ください よろしくお願いします


今週末注目のイベント

上野グリーンクラブ【秋の東洋蘭展】11月7日~8日開催中

上野グリーンクラブで秋の東洋蘭展が11月8日(土)まで開催中です。寒蘭や春蘭など中国や日本の蘭の銘品の集まる展示会が開催中です。また同会期中には日本おもと協会東京支部作品展が9日まで開催されており、おもとの銘品も展示されているそうです。
この機会に伝統植物に触れてみるのは良さそうですね

リミックス名古屋インター店「熱帯植物交流会」11月8日開催

中京の熱い熱帯魚店リミックス名古屋インター店にて、趣味家のミント氏、水草屋氏、ろい氏などが育てた植物の即売会イベント「熱帯植物交流会」が11月8日(土)に開催されま
昨年も好評だったイベントなので興味ある方はかなり多いのではないでしょうか
HPに当日のレギュレーションなどが記載されていますので、ご参加予定の方は確認しましょう!

咲くやこの花館「秋の洋ラン展&ベゴニア展」11月11日(火)から開催

愛好家の育てた野生種や交配種の洋ランの展示会と
ベゴニアの愛好家の育てたベゴニアの展示会が咲くやこの花館にて11月11日(火)から開催されます 講習会や育成相談会、有名蘭店による特別販売会、ベゴニアの即売会なども開催されるそうなので、興味のある方は見に行ってみると色々学べる良い機会になりそうです!

今週の気になる情報

GEX エキゾテラ グラステラリウム PRO発売

GEXの爬虫類ラインであるエキゾテラから新商品がリリースされています
従来品と比べてワンタッチロック機構とプッシュオープン機構が追加されており、従来品よりも開閉がしやすい作りになっているようです
爬虫類飼育は勿論、植物のケージの選択肢が増えるのは良いですね

ピクタ 陶氏「自然の仕組みから考える肥料の補い方」講演

ピクタの陶さんが「自然の仕組みから考える肥料の補い方」をテーマに、自然界の栄養循環をヒントにした、栽培環境づくりについての講演会が東京都夢の島熱帯植物館にて11月22日(土)に行われます
テラリウムやアクアリウムのような閉鎖環境で施肥は必要なのか?肥料は与えなくてもいいのか?与えるとしたら、どのように与えればよいのか?などについてお聞きするチャンス!
最近発売されたばかりのテラベイトの秘話についても聞けるかもしれませんね!現在予約受付中です


京都大学淡水生物研究会「巨椋池」展11月21~24日

京都大学の学園祭11月祭にて、京都にかつてあった巨大な淡水池である巨椋池にちなむ生体や標本の展示が行われるそうです
京都大学吉田南総合館西棟 -共西11講義室にて11月21日(金)~24日(月)に開催予定です


新着情報


コリドラス オガワエ(CW086 Hoplisoma armatum)

相変わらず新着ではないのですが、ちょっと珍しいコリドラス オガワエがスリッシャーズアクアリウムさんに入荷していました
体高のある独特の体型に伸びる背びれ、猫目と呼ばれる変わった形の目をしているコリドラスです
流通名はグランデオガワ氏に由来していて、似て非なるコリドラスが何種か輸入されていますが、本物のオガワエがちゃんと入荷することはあまりないように思います
探している方も多いかも…?

コラム

緑の話

ブセファランドラの水中育成について思っていること


今回はブセファランドラの水中育成について思っている事や考え、工夫についてつらつらと書いていきたいと思います


長くなるので結論から先に書きますと

水上からの導入は1週間~1ヶ月くらい浮かせておく

オンザロックに一工夫してタグを付けておく

早めに育てたい場合は底床に植える

この3点が大事だなと思っています



導入について


ブセファランドラを水中株で手に入れた場合はさほど悩むことはないのですが、ファーム由来など水上株で購入してきたブセを水中に適応させるまでの手段は色々あると思います


我が家では水上株(水中株でも)を購入してきた場合は大体2週間程度水槽に浮かべて水流に当てておきます

この状態で新しい葉が展開したり、新しい根が出てくるなど株に動きが出た段階で溶岩石に固定して沈めるようにすると失敗が少ないように思います

焦っていきなり沈めると何故か葉や根茎が溶けたりするので焦らないことが大事です

この方法はクリプトコリネの導入にやっていた方法ですが、ブセでも結構有効なように思います

浮かべる期間はブセの中でも水中適応性が高いもの、あまり得意ではないものがいますので、株が動くのを観察しながら導入してやると良いと思います

また、浮かべることで水槽内のエビによって手では取り除ききれない傷んでいる部分をケアしてもらえるのも利点だと思います。水槽に浮かべると驚くほどエビが寄ってたかってきて、草が食べ尽くされないか心配になりますが、殆どの場合は健康な部分は食べられないので、逆に人間の目には見えていない弱った部分が多いんだなぁとも思います



我が家ではいわゆるオンザロックスタイルで溶岩石に結んで、溶岩石を半分くらい底床に埋め込むようにして管理しています

このスタイルの問題は多種を集合して管理すると混ざってしまって区別がつかなくなる、最悪札落ちするということです



その予防のため我が家では最近はインシュロックとプラタグを利用して管理しています。これで札落ちのリスクが下がるのでオススメです。更に植えた時に写真を撮って場所を控えておくことも大事だと思います(なおマッキーだと半年程度で薄れてくるので良いペンを探しています)



育成について

普通に水草が育つ環境であれば特に問題なく育つと思います
個人的にポイントだと思っている事は底床に根を張れるようにすることです

ブセは根からの栄養吸収にかなり頼っている水草だと思っているのですが、過去においては水槽ではアヌビアスのように流木に活着させて育てるスタイルがよく紹介されていたと思います

僕もご多分に漏れず初期は流木や石の隙間にブセを置いて育てていたのですが、観察しているうちに底床まで根が伸びると成長が早くなる事、逆に底床に届かないような高い位置に配置したブセがある日突然調子を崩して葉を落とし、溶けるのを観察しました


水槽の高い部分に植えていましたが…

調子よく育っていたTheIA


なんとか根茎のみから戻ってきました


これはアヌビアスでも時折見られる現象で、理由は不明ですが、個人的には土壌に根を下ろして栄養吸収できる環境にないと、根茎部に蓄えたエネルギーを徐々に消費し、限界を迎えるとアポトーシス的に溶ける生理現象の一種なのではないかと考察します
(もしくは一時的に免疫力が落ちて日和見感染を起こすのかも?)

そういった見地から、我が家ではブセはなるべく底床に根を張れるように着生させた溶岩石を半分程度底床に埋めるようにしています。この状態のブセが溶けたことは今のところないので、そこまで的外れではないんじゃないかなと思っています



また、ブセの生息地の写真を見ていると水流の当たる場所を好んで生えている傾向があると思いますので、なるべく株周囲の水が滞らないようにしてやるほうが良いかなと思い、小さいポンプで株の周囲に水流を作ってやっています
固形肥料色々

底床の肥料については、ブセはなんとなく多肥を好む種類と肥料が濃すぎると萎縮する種類があるように思っているので、育てている種類がどちらに寄っているのか一つずつ精査しながら試す必要があると思います
肥料もそれぞれ栄養の配分が異なるため、その時々の目的に合ったものを使ってみると良いと思います

以前も同じようなことを書いたのですが、ファーム物のブセはある程度生産性が高いことが商品として採用される条件の一つになっていると思うので、多肥が向いているものが多い気がします。またキシィやパールグレイなどの中型~大型になる種は肥料を好む傾向があるそうです

底床に栄養がないような環境でも根を下ろす意味はあるのか?という疑問について、以前にピクタの陶さんが、”(有機物が蓄積しているような底床であれば)厚さ3cm以上あれば嫌気層が生じ、硝酸還元によりアンモニア態窒素が供給される環境が作られる”とお話をされていました。
アンモニア態窒素は大概の水草にとって非常に即効性の高い有効な成分ですので、施肥をしていなくてもある程度底床の厚さがあれば有効であると考えています(一般に水草育成に向くと言われるピートやけと土などの有機態窒素分を含む資材を底床に仕込むことはこの作用を早め、強める効果があります)

オマケ:水中でオススメのブセ
クアラクアヤン北部産typeⅠ(出射氏)

小さく匍匐する強健種。ワンポイント的な使い方もできるのでオススメ。ジワジワ広がっていくのが楽しい

Sintang Kayu lapis type1(LA)
クリーム銀といった感じのブセは何種かあるが、本種は中型~大型になるため見応えがある
水中適性も高め

ソルディデュラ'ブルー'(Tropica)
水中適性がかなり高く、成長が早く、名前の通りの光沢のある青が美しいブセ
トロピカのポット苗は価格が高いが、成長が早いのでそのうち国内流通株が安価に出回る気がする

メタリックダークレッド(水の国)
パッと見はナンガタマン(TB)と変わらないような見た目であるが、ある日スイッチが入ると新芽の赤と葉の金属光沢、青みが乗り非常に見応えのする株になる。まずまずの大きさになるので設置する場所をよく考えたほうが良い

シルバーパウダー(Kn)
緑からオリーブグリーンに色づく葉に複雑な構造色が乗る美しい種。主脈が真っ青になるのも見ものである。また調子が出てくると新芽がピンク色になる。良いことづくめでオススメなブセ


著者プロフィール

green


blog連載「Green JOURNAL」席亭

小学三年生から熱帯魚飼育にハマり、水草達と格闘し、ADAの薫陶を受け、珍カラの混じり抜きに夢中になり、時々アピストにも浮気をし、南米水草ブームのビッグウェーブに踊った昭和生まれのアクアおじさん

社畜時代に十年程度水槽を維持するのみの空白期間を挟みつつ、再び還ってきたアクアリウム浦島太郎。記憶残る水草を探し求めつつ、最近はジメジメ植物にも手を出して部屋と財布をますます圧迫しているリベンジ消費おじさんでもある

お友達にも弊blogを紹介してお友達も綺麗にしてあげましょう

表紙

今週のお写真はあまみやさんからお借りしました!
鮮やかでハイコントラストなのがあまみやさんの持ち味なのかなぁと思っていますが、やはりアイキャッチ力が強くて美しいですね
あまみやさんが作る新しい水槽が楽しみです

Good Tools feat.ADA特集

今週はお休みです

PostScript

"札落ち"の価値


我が家には札落ちのブセが4種類あるが、そのどれもが購入時から札落ちだったものである。
どれも特徴的なものなので詳しい人が見れば、物によっては簡単にその名を当てられるかもしれない
だとしても一度札落ちになったものは、安易に名前を探ろうとせず札落ちとして楽しんで貰いたいなぁと思うのである

僕が趣味として通ってきた園芸分野は結構ここの線引きがきっちりしている(そうでない分野もあるが…)が、近年流行っているアガベやジメジメでは札落ち株の写真をSNSに挙げて”これの名前って分かりますか?”と能天気に聞いているのをよく見かける

見た目で同じに見えても育ててみたら違う特徴が出てくるなんてことはざらにあることで、一度でも札落ちになったならば、札落ちとして楽しむのが潔い態度だろうと思う

名前を知りたい、名前を付けたいというシンプルな欲に抗い植物と向き合ってやれば知らぬ間にお気に入りの株になるかもしれない
名前や出自やそれを保証するタグ”のみ”に絶対的な価値があると思っているならば、それは植物を育てる楽しみを自分で狭めていると言わざるを得ないだろう

(green)

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