パロスフロメヌス・リンケイとエキノドルス”ハディ・レッドパール”

金曜夜のお楽しみ、Greenジャーナルvol.14 12月1号のお届けです

Greenジャーナルは水草、熱帯植物、熱帯魚など僕が個人的に気になったモノやイベント、入荷情報などを整理して記録、告知する備忘録的なウェブ連載です


日々情報が溢れて残らない時代に、本誌を通じて記録を残す事を試みています

この場を通じて新たな出会いや学び、楽しみが広がる一助になれれば幸いです


※主にショップや企業のHP情報やツイートを中心に構成していく予定です

個人のツイートで特に紹介したい!と思ったものはお声がけさせて頂くかもしれませんので可能であればご協力お願いしますm(__)m

今週末注目のイベント

Plants Slow Life VOL.2.0(愛知県知多群)12月8日(日)に開催

爬虫類や熱帯植物の輸入増殖販売を手掛けるJタソさんが主催の植物即売会「Plants Slow Life VOL.2.0」が愛知県知多の福住園芸さん敷地内建屋にて12月8日(日)に開催されます
Jタソさんが輸入したタイの熱帯植物は勿論、ピクタムやビカクの育成を手掛けるJewel Plants Gifuさん、トイ吉さんなどが出展しており熱いイベントになること間違いなし!
覗きに行ってみたい!

今週の気になる情報

長嶋祐成「アーチストレジデンス in 平戸」(長崎県平戸市)12月7日から開催

魚や水生生物を描く魚譜画家の長嶋祐成さんをはじめとしたアーティストが長崎県平戸市を舞台に作品の展示やワークショップを行う「アーチストレジデンスin平戸」が7日(土)から開催されます

長嶋さんのワークショップはすでに定員を超えたため参加できませんが、作品は平戸城見奏櫓1階にて展示されるそうですので、近県の方は見に行くのもいいかもしれません

絵は実物を見るのが一番ですよね

ADA水景クリエイターセミナー開催(東京、大阪)

ADAの水景クリエイターがADA LABで12月21日(TOKYO)22日(UMEDA)でレイアウトセミナーとミニNAを用いたワークショップを開催

現役クリエイターに直接お話を伺うチャンスということで非常に勉強になりそうです…!

が、参加費66,000円(ミニNAセット代)となかなかの高額なのでボーナスの使い道に迷っている方いかがでしょうか…?


「カクレトミヨ」の個体数調査(山形放送) 


山形県天童市の一部などにのみ生息し、国の絶滅危惧種になっている淡水魚「カクレトミヨ」の個体数調査が天童市で行われました

生息地は県の天然記念物に指定されているそうですが、アメリカザリガニの侵入によりカクレトミヨが生息する水草が減少したことで生息数は激減しているそうです

ザリガニが環境に与える影響は静かながら激甚な被害を及ぼしますね…一度侵入を許すと根絶がかなり難しい点も含めて想像以上に深刻な問題だと思います…
今後の保全活動に期待です

ダーウィンが来た!「100年のミステリー!日本産ウーパールーパーを探せ」

北海道に生息するというウーパールーパーによく似たサンショウウオを探す特集だそうです!
北海道に生息するエゾサンショウウオの一部ではメキシコサンショウウオのように幼形成熟するものがいて、かつて倶多楽湖に生息していた(のちに絶滅したとされている)ことが知られています(これが約百年前の発見)
近年その湖の近辺の池で同様の幼形成熟個体が見つかっているため、このあたりのことを特集するのかなと思います。楽しみですね!

新着情報

ナイジェリア産プロトプテルス・アネクテンス


これまた新着ではありませんが、興味深いアネクテンスのご紹介!
アネクといえば砂利のような細かい模様や碁石のような模様が入ることでおなじみの可愛い肺魚ですが、今回ベレンさんにレオパード柄とでもいうような、斑模様の個体が入荷しています!
どことなくジャイアントポテトコッド的でもあり…これは魅力的ですねぇ…


コラム

水草、果てしない挑戦の数々

「なぜ沈むのか」

沈水条件で生育するクサヨシ Phalaris arundinacea


前回は、湧水の影響を強く受ける水域では水中に様々な植物が進出することについて述べた。今回は、湧水に沈むだけの植物から、水草らしい沈水葉をもつ植物がどのように生まれたのかについて思いを馳せてみよう。

アクアリストならしばしば、「水中葉にならない水草」を経験するだろう。栽培条件が向いていない場合、水草は水中から脱出しようと水上葉のまま急激に突き抜けたり、全く動かず水中で沈黙したりする。

しかしそこでCO2条件を改善したり、有機酸添加をしたりすると、薄い沈水葉を出し始める。

ここで疑問なのが、沈水葉はあきらかにCO2の吸収効率に優れ、生育に不適な条件に適応しているように思えるのに、じっさい生育に不適な条件になると水中から脱出するか、待機モードになってしまうことである。


このような現象は、野外でも見られる。湧水域においては、通常は抽水条件で生育する水草が、わざわざ沈水葉を形成して水中に生育するのがみられる。これは謎が多い現象のように思えるが、陸上における植物の生育の制限条件を考えると納得がいくように思われる。

空中のCO2濃度は0.04%で一定だが、湧水の影響を受ける水中にはしばしばそれをはるかに上回る二酸化炭素濃度が観測される。

これは雨水が土壌中を浸透する過程で、二酸化炭素を多く含む土壌ガスと触れ、多くの二酸化炭素が溶け込むためである。(溶解量は溶媒に触れる気体の分圧に比例する)そのような環境においては、抽水条件よりむしろ水中の方が生育に有利である。


水草はまずこのような高二酸化炭素環境において水中を選び、重力から解放されて水中に適した姿を得て、その後により二酸化炭素濃度の低い環境にも適応できるように進化していったのではないか、とこうした植物たちを見ていて思う。


次回は、沈水生活にもう少し適応した水草を見ていこう。


著者プロフィール


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今まさに失われつつある水草のある景色を求め、日夜フィールドを彷徨い記録している

"いつまでもあると思っていた。
ようやく手が届く、そう思ったとき、もう何もなかった。
空虚と無念と後悔は、記憶と合して憧憬を生む。その先が過去なのか、未来なのかは、もはや朧げで。
ただ私を引き込んでいく。もっと知れと。

ここを翌年訪れた時、もう水草はなかった。しかしいまでも夢に出てくる。"



表紙




パロスフロメヌス リンケイ(Parosphromenus linkei

マレー半島やインドネシア島嶼部に産する、通称リコリスグラミーと呼ばれる小型アナバンティッドの一種

リンケイはリコリスグラミーの定番種として知られるデイスネリー、ナギー、ハーベイ等に並ぶ代表的な種であり、野生化では小川の抽水植物や水草の間で息を潜めるように生息している

タンニンや腐植酸が豊富に溶け込んだ澄んだ紅茶色の清潔な水に生息している点も育成の大きなヒントである

同様の環境を再現して弱酸性のブラックウォーターで飼育すると、光の粒を敷き詰めたような複雑な輝きを身に纏う姿が見られる

その美しさは、静謐な、何か自分だけが美しさを知る宝石を見つけたかのような歓びがあり、この種に多くの愛好家が心を掴まれている理由が感じられるだろう


リコリスグラミーの仲間は古くから愛好家の多い魚であり、この魚や原種ベタの仲間を求めて日本人でも多くの研究者や採集者がマレー半島やインドネシア奥地に踏み入っていった

これらの調査採集行は現在のジメジメ植物ブームに繋がる端緒の一つである



さて肝心の飼育だが、一般にリコリスグラミーの中でも小型種ほど難しく、大きくなるほど育成難度が下ると言われている。今回ご紹介するリンケイは比較的大型になることもあり育成しやすい部類だろう

前述した通りピートを抽出したブラックウォーターであれば育成しやすいが、ピートに頼らずともマジックリーフやヤシャブシなどを用いてタンニンや腐植酸の含まれる清潔な水を作れば良い(現代ならソイルでもいけるかも?)

※ご存知の通りタンニンの含まれる水は殺菌性があるため、白点病やコショウ病といった病気を予防する利点もある

リコリスグラミーをはじめとした小型のアナバスは活き餌食の傾向が強いため、ブラインやミジンコを沸かせるか、冷凍アカムシなどを用意する必要がある

ショップで長期飼育された魚はまれに人工飼料に餌付いていることもあるため、そうした魚を入手できれば幸運であろう

物陰でジッとしてることの多い魚であるため、同サイズの魚と混泳すると餌が回らなくなる事が多い。可能であれば単独飼育、またはボララスなどのマイクロなコイ科魚との混泳くらいに留めるのが理想だろうか

また、繊細で臆病な魚であるため、水槽前面側に水草や流木などを多めに配置して(水草レイアウトのセオリーの逆をやる)水槽の外側から刺激を与えないようにすると前面側に出てきてくれるようになる(黒いバックスクリーンを水槽前面に張り、開閉できる穴を設けて観察する覗き穴方式みたいな昭和のテクニックもある)

今回のあまみやさんの水槽では前面いっぱいまで水草が植えてあり、背面の水草も繁って光が翳っているため前面に出てきやすい環境になっている

僕も大昔に立石の熱帯魚店でこの魚の美しさを知り自宅で育成していたが、水と餌さえ用意できれば見た目の印象ほどには弱い魚ではない


左様に魅力的な魚ではあるが、原産地では昨今焼畑などの影響により環境破壊が進んでいるため、今後の流通が懸念される魚種であり大切に維持していきたい魚である
(green)


今回の表紙写真ご提供:あまみや(@neb_ln)さん

YouTubeでご自宅の水槽や植物の動画を上げていらっしゃる方です。元々は海水魚を飼育されていたそうで、水草はまだ始めて日が浅いそう…とは思えないくらいしっかりと水槽を維持されていて、そこはマリンアクアの経験が活きているのかなと思います。

YouTubeチャンネル「あまみや(働かざる者)」は画面の随所にこだわりを感じつつ(そもそも画が美しい)、肩の力が入りすぎてない緩さもあって素敵だと思います。巨大水槽のネオケラちゃんがとても可愛いので必見です。オススメ!


ボルネオの植物





PostScript

Hygrophila pinnatifida




緊急告知

現在Greenジャーナルでは表紙の写真とその写真についてのひとくちコラムをご担当して頂ける方を募集しております!

わが家には水槽が3本しかないため、写せる生き物の数に限界があり、表紙用の写真のストックがそろそろ底を尽きかけておりまして、是非皆様のご助力を賜われればと考えております

写真の方向性は今までの表紙を参照して頂ければと思います。美しい写真は勿論、写っている生き物への愛を感じられるものであれば嬉しいです
コラムも1ツイート分程度で十分ですので、是非お気軽にご応募頂ければと思います

なおご担当は毎週ではなく、連載コラム同様にこちらで複数人にご担当週を分けさせて頂き、日程調整後にご指名させて頂く形(月1回程度担当予定、1度切りの掲載でも大丈夫です)になると思います

掲載の体裁上、お借りするお写真は縦長にカットさせて頂くことになると思いますのでその点はご了承頂ければと思います

ありがたいことに複数の方にお声がけを頂いておりますが、まだまだ絶賛募集中です!


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