コラムまとめ 「迷宮探訪」著者:闘魚庵けんご

2026年2月27日金曜日

Greenジャーナル 闘魚庵 迷宮探訪

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迷宮探訪 2024年10月3号掲載

「アナバスと呼ばれる魚たち その1」


はじめましての方ははじめまして。

そうでない方はいつもお世話になっております。けんごと申します。


アナバスと呼ばれるグループの魚が大好きで東南アジアを旅しながらアナバスの仲間を観察したり、輸入販売をしたりなどしております。


ではさっそく現地でのフィールドや魚の様子を…と行きたいところですが、第一回ということでまずはアナバスと呼ばれる魚達についてご紹介させていただきたいと思います。


今回はアナバスの花形Betta属の仲間たち。


ベタといえば以下の画像のような魚たちを想像される方が多いかと思います。

ハーフムーン、多くの方のベタのイメージはこのような魚ではないでしょうか

これらの魚はベタ・スプレンデンス(Betta splendens)をベースとして作出された改良品種になります。

原種のベタ・スプレンデンス

品種によってはその作出過程で他のBetta属と交雑を行っている可能性がありますので、現在存在する改良ベタは必ずしも純粋なB.splendensであるとは言えないことには注意が必要ですが…。


実はこのベタ属は現在70種以上が知られています。

つまり世間一般に「ベタ」と呼ばれる魚はベタ属という大きなグループの中のごく一部に過ぎないのです。

そんなベタ属ですが非常に多様性に富んでおり小さいものでは3㎝ほど、大きいものでは15㎝に迫るものも存在します。

繁殖方法も一般的なベタの繁殖形態として知られる泡で巣をつくるバブルネストビルダーの他に、親が口内で子供を保護するマウスブルーダーと呼ばれる繁殖形態をとるものも知られています。

平地の湿原から山中の小川まで非常に多様な環境に生息しており、様々な環境に適応した種に分化しているためアナバスと呼ばれるグループの中では最も多様性を持ったグループと言えるでしょう。


ベタ・ペルセフォン。最大全長3センチほどの小型種


ベタ・パリフィナ(と思われる)全長12センチほどの大型種


本当は既知の種や今後新種になるであろう未記載種など全て列挙して事細かにご紹介させていただきたいのですが、本が1冊できるくらいのボリュームになってしまいますのでここでは割愛させていただきます。


次回はまた他のグループをご紹介させていただきますので今しばらくお付き合いいただけますと幸いです。



迷宮探訪 2024年11月3号掲載

「ベタをたずねて三千里:カンボジア採集記① シアヌークビル」


こんにちは。闘魚庵のけんごです。

当コラムも第二回。

本来ならば予告通りベタ以外のアナバスのお話をするつもりでしたが、この記事を書いている現在カンボジアに滞在しています。

せっかくなのでこれから数回カンボジアのアナバスについてお話をさせて頂きたいと思います。

今回の旅最初の目的地はシアヌークビル。カンボジア南部の港湾都市です。
中国からかなりの金と人が流入しており、カンボジアにおけるチャイナタウン的な雰囲気になっています。

シアヌークビルの町。かなり活気があります


成田空港を出発してから飛行機を2便、長距離バスを2便乗り継いで計28時間ほどの大移動の末13時ごろに到着しました。
すぐにホテルに入って採集の準備を整えて出発。

しばらくバイクを走らせると目的の湿地が見えてきました。


スプレンデンスグループのベタはこのような浅い湿地を好んで生息しています


ここシアヌークビルの一部にはBetta imbellisによく似た魚が生息しています。
もしかしたらBetta imbellisそのものかもしれません。(詳しくは後述)

過去にも来たことがあるのですが、そのときは輸送に失敗してしまって満足な数を得ることができませんでしたので再訪となります。

しばらく網を振ると無事に入ってくれました。
今回の目的であるBetta cf. imbellis "From シアヌークビル"です。

採集直後のBetta cf. imbellis この時点でも非常に美しい色彩を確認できます


さて、目的の魚の写真もご覧いただいたところで私がこの魚をBetta imbellisであると断言しない理由、そしてcf.としてBetta imbellisである可能性が高いものとして扱っている理由をご説明させて頂きます。(アナバスオタクの戯言と思って頂いて結構です。笑)

今回採集したcf.imbellisはシアヌークビルをはじめとしたカンボジア南部に生息しておりますが、実はベトナム南部にも同様にBetta imbellisによく似た魚が生息しており、カンボジア、ベトナム、マレー半島におけるBetta imbellisおよびそれによく似た魚の生息地はほぼ同様の緯度に収まっているのです。

現在タイランド湾と呼ばれている海は大昔は陸地であり、スンダランドと呼ばれる広大な陸地を形成していました。
つまり昔はマレー半島からインドシナ半島まで陸続きだったわけです。
これらのBetta imbellisに似た魚たちは以前はスンダランドを伝って分布しており、タイランド湾が形成された際にそれぞれがマレー半島、インドシナ半島、カンボジアの一部に隔離されたのではと個人的には考えています。

上記の仮説が正しければこれらの魚は共通のルーツを持っているはずですが、隔離されてからかなりの時間が経過しているため種単位で別の遺伝的特徴を備えている可能性があります。(外見的特徴はまさにBetta imbellisのそれですが…)

と、こんな感じで同じように見える魚でも色々なところで観察していくとあるとき点と点が繋がる瞬間が訪れます。
これが現地での観察、ひいてはロカリティ情報の正確な魚を観察することの最大の楽しみの1つではないかと私は思っています。

どうでしょうか?
ツラツラとご説明するよりもよほどアナバスという魚の面白さを感じていただけるトピックになったのではないかと思います。
ベタと地理の話はまだまだ面白いものがありますので今後も遠征を通じて皆様にもお楽しみ頂けますと幸いでございます。

ではまた次回。




2.迷宮探訪 2024年12月2号掲載

「ベタをたずねて三千里:カンボジア採集記② シアヌークビル後編」


お世話になっております。

今回もカンボジアのレポートをお届けいたします。


前回cf.imbellisを無事採集しようやく最初のホテルで睡眠を取り、この日も採集に臨みます。


この日のターゲットはBetta primaです。

そして可能であればsp.シアヌークビルと呼ばれるスプレンデンスグループのベタも見つけられれば最高。といった具合です。


まずはホテルを出てBetta primaの生息する湿地へ。

Betta primaの生息地。立木とホシクサが美しい

ホシクサの仲間。詳しい方曰くオオシラタマホシクサでは?とのこと


ホシクサが群生するとても美しい湿地です。


ここは以前に発見したポイントなので、Betta primaがいることは間違いありません。

採集直後のBetta prima 地味な印象を受けるが、よく見ると鰭や鰓蓋に薄っすらと色が乗る味わい深い魚である

しばらく網を振ると無事に採集できました。


この時点で時刻は12時。

この日の夕方のバスでシアヌークビルを発つので、あと3時間ほどで採集を切り上げなくてはなりません。

残った時間を使ってダメもとでsp.シアヌークビルの捜索をします。


しばらく色々な湿地をのぞき込んでスプレンデンスグループのいそうな場所を探します。

しかし、どこもそこまでよい雰囲気ではなく時間は残り僅かに…。


仕方ないのでここまで見てきた中で最もマシな場所に入ることにしました。


ミズオジギソウが多い湿地はスプレンデンスグループの生息密度が低く、かつ硬いミズオジギソウの下にいるため採集も難しく、スプレンデンスグループの採集においてはよい湿地とは言い難いのだが…

網を入れると小さなスプレンデンスグループが採集できました。

しかしこのサイズでは特徴が出ておらず同定は出来ない。大きな個体を求めて1時間ほど採集を続けますが採れるのは小さなものばかり。

最終的に5匹ほどの魚を得ることができましたが、特徴の出たものは1匹も得られませんでした。(そのため採集後の写真もありません。申し訳ない…)


ここで採集した魚に関しましては、5匹全て輸入し、無事に到着しているので成長とともに変化があれば皆様にもご覧いただきたいと思っています。


さて、そんなこんなでメインターゲット2種を無事に採集しプラスで未記載種(の可能性のある魚)も採集できたということで、結果は上々。

ホテルに戻って身支度を整えてから夜行バスでシアヌークビルを後にしました。


続く



迷宮探訪 2025年1月2号

「ベタをたずねて三千里:カンボジア採集記③ シェムリアップ編」


前回の掲載分でシアヌークビルでの目的の魚を採集し、今回はシェムリアップが舞台です。

ここでの目的はBetta siamorientalisです。
本種はタイ東部、カンボジア、ベトナムの一部に生息しています。
タイ東部の個体群はメジャーですがベトナムとカンボジアの個体群は日本ではなかなかお目にかかることはできません。
特にカンボジアの個体群は情報も少なく本当にジャムオリエンタリス種なのかという点も不明確。それを確かめることもこの旅の目的の1つでありました。

シェムリアップ郊外をしばらく移動するもなかなか見つからず…。
途中で休憩がてらクリークでアナバス以外の魚を掬って遊んだりなどしました。


ブラックウォーターの美しいクリーク

Xenentodon?ニードルガーと呼ばれる類の仲間のハズ…。


金線ラスボラと呼ばれるグループのラスボラ。東南アジアでの採集においては超普通種だが地域ごとに微妙な違いがあって面白い

Cyclocheilichthysの一種と思われる。カンボジアでは結構見かけた種類である


Ompok属の一種と思われるナマズ 沼地ではあまり見ないタイプの魚なのでちょっと嬉しい



そんなこんなで日没まで数時間。
もともと目をつけていたポイントの1つに向かいます。
地元の人が水浴びや魚捕り(これは食用でキノボリウオやグラミーを採集していました。)をしていたので「小魚を探してるんだけどここに入って探してもいいかな?」と尋ねるとニコニコでOKしていただいたので遠慮なく網を振ってみる。

Betta siamorientalisの生息地。様々な水生植物が見られる美しい湿地であった

しばらく網を振るとベタが採れました。
間違いなくBetta siamorientalisです。

Betta siamorientalis 採集直後にも関わらず非常に美しい色彩を楽しむことができた


本当にカンボジアにもいたんだ!という感動を噛み締めつつこの日の採集は終了。
早めにホテルへ戻って翌日以降のハードな移動に備えることとしました。




迷宮探訪 2025年2月1号掲載

ベタをたずねて三千里:カンボジア採集記④ ストゥントレン編

ここまでお届けしてきたカンボジア遠征もいよいよ大詰め。

今回の遠征最長の移動となるシェムリアップからストゥントレンまで340キロを移動しました。

その日はストゥントレンのホテルに宿泊し、翌日に前回の訪問時にBetta stiktosの生息を確認した湖を訪れるが水位が高く1尾も採集することができませんでした。

Betta stiktosの生息地。このときは水位が高く魚を観察することはできなかった。



本来の予定であれば半日でサクッと採集を終えて夜までにシェムリアップに戻る予定であったが、大幅に予定を変更して一から捜索をすることに。

この時点で既に昼を過ぎており、ゆっくりと情報を整理する時間もなかったためとにかく近辺を走りながらスプレンデンスグループのいそうな場所でひたすら網を振る。
この日は5か所ほど回ったものの結局目的の魚を得ることはできず、あたりが完全に暗くなったタイミングで終了…。

訪れた湿地のひとつ 雰囲気はよかったが、水質が悪くBetta stiktosが住むには厳しい環境であった



手ぶらで戻るわけにもいかないので、この日もストゥントレンで宿を取り地形図を確認しながら翌日の計画を練りながら夜を明かしました。

翌朝、日の出とともに行動を開始し、昨夜の考察でもっとも可能性がありそうだと判断したエリアへ。

目的のBetta stiktosはスプレンデンスグループの中では比較的清浄な水を好み、流水に対する適応力も高い種であるということは知っていたので、この日は流水域に狙いをしぼって探していくこととした。

比較的水質もよさそうなクリークを見つけたので、この日最初の採集はここで行うことに。

水質もよく、非常に雰囲気のよいクリーク



しばらくは美しいコイ科魚類を楽しみながら網を振っていたが、10分ほど続けるとベタが網に入った。

コイ科の一種 詳細な種類は不明

パールダニオと思われるコイ科 他産地のパールダニオと比べると色彩が鮮やかすぎるので、別種の可能性もあるかもしれない



形態的特徴、生息域からしてもまず間違いなく目的のBetta stiktosである。

採集直後のBetta stiktos 美しい緑色の体色と鰓蓋の鱗の形状が本種最大の特徴だ



この日はまる1日をBetta stiktosの捜索にあてる予定であったが朝一番で目的の魚を得ることができたので、予定を再度変更しシェムリアップに向かいつつもう1種ベタを捜索することにした。


続く


迷宮探訪 2025年3月1号掲載

ベタをたずねて三千里:カンボジア採集記⑤ コンポントゥム編

前回、無事にストゥントレンでBetta stiktosを採集し、この旅で残す目的も最後の一種となった。

最後の目的はBetta smaragdinaである。
タイ東北部、ラオスの個体群が有名な本種であるが、カンボジアからもよく似た魚の目撃情報が僅かに報告されている。
現地のマニアでも数年探し続けて見られないほど珍しい魚であるとのことで、前回の訪問時には見つけることができなかった。

今回は最悪の想定よりも早くBetta stiktosを採集することができたので、余裕を持って捜索にあたることができる。

ストゥントレンから5時間ほどバイクを走らせコンポントム州に入った。この日は日差しも強く気温も30度を超えているため既にへとへとである

そんな中望みのありそうな湿地を探ること4カ所目にして、ようやくスプレンデンスグループのベタが網に入った。


Betta cf. smaragdina
発色はイマイチだが、随所にsmaragdinaによく似た特徴が見られる




Betta cf. smaragdinaの生息地
平地にあり非常に水温の高い場所であった



小さく、発色も悪いため分かりにくいが鰓蓋に入る緑色の色彩とその鱗の形状がBetta smaragdinaに類する魚であることを示している

その後も2時間ほど網を振り続け、あまりの暑さに身体が動かなくなってきたのでこの日の採集は終了

最終的に5匹ほどしか得られず、全てが恐らくメスであろうと思われたためまた再訪してしっかりとしたサンプルを入手したいと考えている。

いずれにしてもBetta smaragdinaに類する種はカンボジアにも存在するということを自身の目で確認できたことは非常に大きな収穫であった


Betta stiktosでは?と思われるかもしれないが、経験上Betta stiktosはあの水温では生存できないと思われる。地域的にも生息域から大きく離れているためBetta smaradginaもしくはそれに近い未記載種であると考えるべきであろう


これをもってカンボジアでの採集は終了となった



その後はタイへ寄ってマーケットを散策したり、スネークヘッドを釣ったりなどしてゆっくりと過ごしこの旅を終えた

マーケットやスネークヘッド釣りも非常に楽しいものなので、こちらの様子もいずれご紹介したい



レッドスネークヘッド
バイトシーンからファイトまで非常にエキサイティングな釣りを楽しめる
味もなかなか美味。








迷宮探訪 20225年4月2号掲載

「ベタをたずねて三千里:タイ東北部採集記(1)」



お世話になっております。
闘魚庵のけんごです。

カンボジア遠征の記事も書き終わりまして、次はどうしようかな……と思っていたところ「タイ東北部での採集の記事を見たいです!」とネタを頂きましたので、今回からはタイ東北部でのことを書かせていただこうと思います。

2023年2月、私はタイ深南部を訪れとある魚を探していました。
国境付近で未だにテロなどが起こっているちょっと危なめな地域なのですが自然が豊かでとても楽しく行動できておりました。(こちらについてもいつかご紹介できればと思います。)
無事に目的の魚を発見、ホクホクでバンコクに戻りその足でドンムアン空港へ。

ここで日本から来た友人と合流してタイ東北部へ向かいました。



バンコクからウドンタニへは飛行機で1時間くらいだったと思います。
国内移動は本当に楽でいいです。笑

荷物を受け取ったらウドンタニ空港でレンタカーを借りて行動開始!




今回の一番の目的地はブンコンロンなのですが、まだまだ距離があります。
流石にそこまで魚見ないで我慢なんてできないでしょ!ということでアナバスのいそうな湿地を探しながらまったり車を走らせます。

ひたすらに真っすぐで車も殆ど通らないような道を走ること数十分。ちょっとよさげな湿地を見つけました。




ここには絶対いる!と猛ダッシュで準備をして我先にと入水。

数回ザルを入れるとTrichopsisが!


Trichopsis schalleri


タイ東北部ならではの種類、スリーストライプクローキンググラミーです。
「タイ東北部に来たぞ!」って感じでニヤニヤしてしまいます。笑

その後もしばらくザルを入れ続けるとやはり入りました!

Betta smaragdina


ベタ スマラグディナです!本種もタイでは東北部に生息することが知られているベタですね。
今回のターゲットの一種でもあります。

目的の魚を早くも見ることができてしまったので、アナバスに混じってザルに入ってきていた小魚にも目を向けてみることに。

Oryzias mekongensis

こちらもタイ東北部の魚としてよく知られているオリジアス・メコネンシスですね。

このオリジアスの仲間、非常に美しく人気も高い魚であり個人的にも観賞魚としては大好きなのですが採集のターゲットとしては大嫌いです。笑

というのも繊細なために網で掬いあげるとショックで死んでしまったり、擦れから感染症を起こして死んでしまうケースが多いのでとても気を遣う魚なのです。

今回も網でそっと囲い込んでからレンゲで水ごと1匹ずつ袋に移します。

こんなに面倒な魚なのに安いオリジアス(ミヌティルスやダンセナ等)は小売価格で1匹100円前後…。一体現地の人達はどんな魔法を使っているのでしょうか…。笑

と、そんな愚痴をこぼしながら1時間ほど黙々とメコネンシスを袋に移してこのポイントを後にしました。

次回は今回の目的地ブンコンロンでの様子をお届けします!




迷宮探訪 2025年5月2号掲載

「ベタをたずねて三千里:タイ東北部採集記(2)


お世話になっております。けんごです。

今回もタイ東北部での採集レポートをお届けいたします。

ウドンタニ空港から200キロほど移動しようやくこの旅の目的であるブンコンロン湖に到着しました。




ブンコンロン湖、日本にいたときはとても大きな湖という印象を持っていましたが、実際はそこまで大きなものではありませんでした。
湖というだけあってもちろん小さくはないのですが…。笑

ブンコンロン湖に到着したのは夕方でしたが、さすがに我慢ができなかったので早速少しだけ魚を探すことに。




最初に採れたのはスリーストライプクローキンググラミー。(※1)
ここの個体はかなり光沢感が強くて特徴的な見た目をしていました。

Trichopsis schalleri 



その後もしばらくスリーストライプがザルに入り続けますが、ついに目的の魚であるベタ・スマラグディナに出会うことができました!

Betta Smaragdina


このスマラグディナ、北部地域の一部の個体群はギターと呼ばれており観賞魚の世界では他地域の個体群と分けて考えられています。
個人的には今後別種になる可能性もあると考えていますが、周辺地域の分布状況なども加味して判断をしなくてはならないと思いますので断言は避けます。

このあたりで日没を迎えたのでこの日の採集は終了。
翌日以降の採集についてはまた次回お届けいたします。



※1
ブンコンロン湖に産するトリコプシス シャレリーの個体群は通常のT.シャレリーに比べて黄色みが強く、”ゴールデンシャレリー”と呼ばれている。現在滅多に入荷することのない種であるが、個人的に再入荷を心待ちにしている魚の一つである
詳細は水作HPの山崎浩二氏のコラムに詳しいので是非ご参照頂きたい
(green)




迷宮探訪 2025年7月2号掲載

「ベタをたずねて三千里:タイ東北部採集記(3
)」



お世話になっております。けんごです。
前回念願のギターを採集したタイ東北部遠征。今回はその続きをお届けします。

唐突ですがこのギターと言う魚、現状はBetta smaragdinaの1形とされており「タイ北部に生息する尾鰭に格子模様を持つスマラグディナがギターである」とされています。
では、実際にスマラグディナがギターと呼ばれる表現を持つ地域はどの範囲なのか?気になりませんか?
僕は気になりました。なのでブンコンロン湖を起点に西へ移動しながら都度スマラグディナを採集してみることに。(実際は次の目的もあり、立ち寄る場所すべてでスマラグディナを見られるわけではないのでサンプルはわずかですが…)

まずはブンカーン県の北部にて。
ここはブンコンロン湖から直線で40キロほど西の地点です。



Betta smaragdina "Guitar"


ここのスマラグディナは格子模様はやや弱いもののまだ"ギター"と呼べる範囲の表現をしています。

さらに西に移動してノンカーイ県の東部へ。
ここはノンカーイ県とブンカーン県の県境から西へ10キロほどの地点です。


Betta smaragdina "Guitar"?

この時点で尾鰭の格子模様は消失。
"ギター"と呼べる表現ではなくなりましたが、"ギター"と呼ばれる個体群に特徴的な形態的特徴は備えており、中間的な形質となっています。

ここからもスマラグディナを探すもののあまりいい場所を見つけることができず終了。




翌日は明るくなる前に起きてルーイ県へ。
この旅も終わりが近づいており滞在時間は短くなってしまいましたが、自然が多くとても素晴らしい場所でした。



ここではBetta splendensを採集しました。

Betta splendens


野生下の本種は闘魚文化や観賞魚文化の影響を多分に受けており純粋な原種を探すことは非常に難しくなっていますが、この場所の個体群はかなり原種に近い表現を保持しているように感じました。

その後はバンコクへ向かう寝台列車が2時間近く来ないというトラブルに見舞われ駅の地べたで眠ることになるなど、些細なトラブルを楽しみつつタイ東北部の遠征は終了致しました。







迷宮探訪 2025年8月2号

「番外編:海外釣行ツアーのおさそい」



お世話になっております。けんごです。

いつもはアナバスに関することやその採集について書かせていただいておりますが、今回は番外編としてタイでの釣りについてご紹介をさせて頂きます。

なんと、たまたま現在次回の釣り遠征の同行者さんを募集していますのでご興味あればご連絡頂けますと幸いです。笑

さて、タイにおけるゲームフィッシングのメインターゲットといえば"チャドー"でしょう。



日本ではレッドスネークヘッド、英語圏ではジャイアントスネークヘッド、マレーシアではトーマンなどと呼ばれております。
学名でChanna micropeltesと呼ばれている種ですね。

東南アジアに広く分布しており、生息している水域によって色彩などの表現が大きく変化します。





基本的には緑〜紫色がかった美しい色彩をしており、釣りの過程だけでなく釣ったあとも楽しませてくれる素晴らしい魚です。(ちなみに味も淡水魚としては美味しい部類なのでひとしきり眺めたら食べるのもアリです。笑)

肝心の釣り味の方なのですがこれは"最高"の一言に尽きます。

私は国内外でそれなりの数の魚を釣ってきましたが、今まで釣った魚の中でも本種が最も好きなターゲットです。
東南アジア全体でゲームフィッシュとして広く愛されており、(私含め)わざわざ海外から本種を釣るために訪れる外国人も少なくないということからも、本種の釣り魚としての人気が伺えます。

本種はある程度の広さの水場であれば流水止水問わずどこにでも生息しており、ウィードの中やブッシュの下で定位している個体、ある程度回遊している個体など行動パターンも様々です。

基本的にはトップウォータールアーであるバズベイトやフロッグなどを使って岸際や障害物を撃つ釣法と、稚魚を連れている親(所謂ボール)にクランクやミノーなどを投げて怒らせることで釣るという2つの釣法がメジャーです。


先ほども書いたように回遊している個体がいること、チェイスのスピードが桁外れに速いため、ルアー回収間際でのバイトも多くずっと気を抜けない緊張感もこの釣りの魅力です。



どの方法でも釣れるのは釣れるのですが、私はバズベイトを用いた釣りを最も好んでいます。
理由としては水面の爆発と凄まじいチェイスというこの魚の魅力を余すことなく楽しむことができる釣りであることと、細かいアクションなどが必要なく"とにかくいいところに投げて巻く"という単純な動作の繰り返しで良いことがあげられます。

場合によっては早朝から夕方までボートを流しながらひたすらストラクチャーを撃つことになるので、この"アクションがいらない"という点は非常に助かります。
ボール撃ちについてはなんだかあまり釣れる気がしないクセにボールを追いかけ始めると数十分単位でボールを追いかけ回すことになるので飽きてしまうのと、単純に子供が可哀想なので個人的にはあまり好きではありません…。

以上の理由から私はバズベイトを好んで使っています。
愛用はボルケーノグリッパーの1/2oz。これの黒と白、トレーラー用のワームを数種類大量に持ち込むようにしています。
まぁ、実際それなりに立ち上がりが良く飛距離を出せるバズベイトであればなんでも釣れます。笑

トレーラーの使用は好みによりますが、立ち上がりがよくなることと魚に"食うべき場所"を知らせやすい気がして使うようにしています。
ワームは凄まじい頻度で尻尾を噛みちぎられるのでトレーラーを使う場合は「絶対にこんなにいらないだろ…」というくらい大量に用意することをオススメします。


ファイトに関しては正直「サイズの割には良く引く」という程度であり、他の魚と比べて特筆するほど強くはありません。(90cmオーバーのバケモノを除く)
本種の釣りにおける最大の魅力はトップウォーターでのバイト時に発生する豪快な捕食音と水しぶきであると私は思います。その迫力はまさに「爆発」と呼ぶに相応しいものです。

遊泳速度、瞬発力ともに素晴らしいものがあり、かなり高速で巻いているバズベイトを横から引ったくるようにバイトが出る場合もあります。

爆発の虜になってしまった私はバズベイト以外でネイティブの本種を狙うことは基本的にありません。それくらい素晴らしいバイトを本種は見せてくれます



タイにおける本種ですが、相当広い範囲に分布しており、それなりの広さの水場であれば割とどこにでもいると考えていただいて問題ありません。
また、タイ国内にも本種を釣ることができる釣り堀が数カ所ありますので釣り堀で狙うのもよいでしょう。

釣り堀のものをバズベイトで釣るには早朝のワンチャンスをモノにするしかなく、バイトやファイトも野生の個体と比べるとやや大人しめなので諸々が許すのであれば是非ネイティブを狙っていただきたいところではあります。

ネイティブについては「1日中バズベイトを引き倒してボウズ」といこともままあるような釣りですが、自分の予想通りの場所にいた魚が水面を爆発させながらルアーを引ったくって行く様はヤミツキになります。

また、前述の通り色彩的にも非常に美しく、食べても美味しい魚ですので1匹で3度オイシイ魚と言えます。笑

チャドーの唐揚げ。肉食の川魚にしては臭みが少なく肉厚なので食べても楽しい魚です


本当に素晴らしい魚、楽しい釣りですのでご興味のある方はぜひ一度狙ってみることをオススメ致します。
1匹釣り上げたら貴方も本種の魅力から抜け出せなくなることでしょう。

※冒頭で書いた通り、次回の釣り遠征の同行者の方を募集しております。
現状4人くらいですが、人数が多いと費用が安くなるうえに単純に楽しくなるのでまだまだ募集中です。
詳細はこちらのポストよりご覧ください。





 

迷宮探訪 2025年9月2号

Betta mahachaiensisと生息地減少について」




お世話になっております。

いつもは遠征の様子をご紹介させていただくことが多いのですが、今回は特定の種類、環境にフォーカスしてご紹介をさせていただきます。

今回ご紹介する魚はBetta mahachaiensis 巷ではマハチャイと呼ばれているベタです。

Betta mahachaiensis
(こちらは観賞用に改良された個体ですが、多くの方にとってはコチラのほうが馴染み深いかと思います



本種はスプレンデンスグループに属し、タイ中部の"マハチャイ"と呼ばれる地域(主にサムット・サコーン県やサムット・プラカーン県といったバンコクの南方の沿岸地帯)に生息しています。

広い分布域をもつスプレンデンスグループにおいて、ここまで生息域が狭いものは(記載においては)本種とBetta stiktosのみでしょう。

現在ではタイ政府により保護されており、輸出に制限が設けられています。

今回はそんな本種の置かれている現状をご紹介させていただきます。

私がはじめて本種を採集したのは2018年のことです。
それ以来定期的に本種の生息地を訪れてきました。

本種の生息環境はスプレンデンスグループの中でも特殊であり、ニッパヤシの茂る水没林を主な生息域としています。

本種の生息地。美しい環境ですが、蚊が多い上に蒸し暑いので採取はそれなりにハードです


日本に広く紹介された際に「汽水域に生息している」と紹介されたため未だに誤解されることがありますが、本種は塩分耐性が高いだけで本種の生存に塩分は一切必要ありません。
とはいえ、塩分が含まれるような場所にまで進出していることは事実でありこれはBetta属の魚としてはかなり異質であります。

本種の生息地はニッパヤシを原料とした腐葉土状の底質に濃度の高いブラックウォーターをしていることが多いように感じます。


本種は非常に美しいブラックウォーターに生息している



入ったことがないため未確認ではありますが、マハチャイ地域においてはタイ国鉄の線路脇にも本種の生息できそうなニッパヤシの水没林は広く見られます。

タイ国鉄の線路とその脇(左手)の水没林


総じて「マハチャイ地域の未利用地に生息している」という印象です。

さて、そんな本種ですが先述のとおり現在タイ政府によって保護がなされています。

典型的な「いる所にはいくらでもいる魚」なので、体感として各生息地の個体数が大きく減少しているという印象は受けませんが、開発によって生息地そのものが減っているという印象を受けますのでおそらくそれを見越した対処なのでしょう。

実際、マハチャイ地域はバンコクにほど近く輸送の面で非常に便利な一方、未利用の土地がまだ多く残っており人類の経済活動においてはかなり"オイシイ"地域であるように感じられます。

開発は年々進んでおり、最後に訪れたときは私が定期的に訪れている生息地の1つの1-2キロ先で非常に大規模な開拓が行われていました。(この一帯ももとはニッパヤシの水没林でした)

開拓された元水没林

こう言っては悪いのですが、同じように生息域の狭いBetta stiktosについては分布がカンボジアというタイに比べると開発の進んでいない国かつストゥントレン州という大規模な経済活動が行われていない地域を生息地としているためこちらの生息状況はまだまだ余裕があるように感じます。

インドネシアを訪れた際にも、現地の人がプランテーションを指して「ここには昔Betta〇〇がいたんだ」と教えてくれるシチュエーションは多くあり、東南アジアにおける開発と生息地減少の問題は非常に深刻であると考えています。

まさに開拓が行われている森林。このクリークにはBetta antoniやブセファランドラなどが見られた。ボルネオ島にて


特に本種のように生息域の狭い種にとっては少しの開発が大ダメージを与える可能性があります。
ペットトレードによる消費を軽視するつもりはありませんが、このように開発による打撃はペットトレードによる消費のそれを遥かに上回ります。

香港島、Macropodus hongkongensisの生息地のすぐ近く

ベトナム中部、ブラックパラダイスの生息地のすぐ近く

ボルネオ島、サンガウのBetta antoniの生息地のすぐ横


我々先進国の人間が「自然を大切にしろ!」と声を上げることは簡単ですが、実のところ東南アジアの森林開拓の多くは油を目的としたプランテーション化であり、そこから得られるパーム油の恩恵を最も受けているのは他でもない我々先進国の人間です。(チョコレート、インスタント麺、マーガリン、石鹸など本当に身近な製品に活用されています。)

1人がどうこうして変わる問題ではありませんが、これからの時代において自分達の生活が環境にどのような影響を与えているのかということは常に考えていかなくてはならない問題であると思います。
動植物を愛する私達だからこそこういった問題をより身近に感じることができるでしょう。

なんだか説教臭い話になってしまいましたが、こういった問題も現地を訪れているからこそお伝えできるリアルであると考えています。



追記:”マハチャイ”とマハチャイエンシス

Betta mahachaiensisは種小名のマハチャイエンシス、または"マハチャイ"として流通するが、お店の人に”マハチャイ”とマハチャイエンシスの違いはなんですか?と聞いても、明瞭な答えは得られない事が多い。そこでけんご氏にその違いや考え方について尋ねてみました
(green)

採集直後の本種。原種でも非常に美しい色彩をしている


"マハチャイ"は現地人や愛好家が本種を呼ぶときの愛称のような感じです。

記載以前から存在は広く知られており、マハチャイ地域原産のため種小名のない本種を"マハチャイ"と呼称しておりそれが定着した形になります。

一方で"マハチャイエンシス"は種小名ですので、ちゃんとした話をするときは"マハチャイエンシス"として扱っています。

個人的には交雑していないものを"マハチャイエンシス"、交雑の可能性が高い改良品種などを"マハチャイ"と割と意識的に使い分けることもあります。



迷宮探訪 2025年10月2号掲載

「謎のBetta prima近縁種についての検討」



お世話になっております。 闘魚庵のけんごです。 

今回は、少し面白い魚が入荷しましたのでご紹介させていただきます。 先月末、タイから1枚の画像が送られてきました。




 

 現地人としては「このベタ何?」というスタンスでした。 
画像を見る限り、十中八九 Betta prima もしくは B. pallida と思われましたのでどちらかを絞り込むために「どこで採集したもの?」と尋ねたところ、タイ西部のカムペーン・ペット県とのことでした。 

 しかし、この地域にマウスタイプの Betta 属が生息しているという話は、これまで聞いたことがありませんでした。 

ここで、タイにおけるマウスタイプの Betta 属の分布について簡単にご紹介します。 



赤い◯が B. pallida の生息地 
青い◯が B. prima の生息地を示しています。 
そして黄色い★が、今回の個体群が採集された地域です。 

 今回の重要なポイントは、B. prima である可能性が高いと考えられるこの個体群の採集地が、本来の生息地から明らかに離れているという点です。 

両者の中間にあたるタイ中央部では、私もこれまで多数のアナバスを観察してきましたが、マウスタイプのものを確認したことは一度もありません。 

「実物を見て精査したいから送ってほしい」と伝えたところ、10匹ほどの魚が届きました。(もちろん代金は支払いました) 

 では、届いた魚を見てみましょう。 





 外見的な特徴は B. prima のそれに非常によく似ています。(というか、ほぼそのものです)

 このような場合、遺伝子を調べられれば確実なのですが、さすがにそのための設備はありませんし、比較対象として確実に B. prima である個体の遺伝子情報も必要です。

そこで今回は、計数形質と呼ばれる数値を用いて確認していきます。 

 計数形質とは、簡単に言えば鱗の枚数や鰭の条数などのことです。 基本的に、同一種であれば一定の範囲内でほぼ同様の数値を持っています。 
これに外見的特徴や分布情報などを組み合わせることで、ある程度の確度で種を特定することができます。 

 今回は魚類学的な論文ではありませんので細かい説明は省略しますが、計測を進めたところ、背鰭条数と側線鱗数に特徴的な結果が現れました。 
11匹からデータを取り、その平均値と B. prima の範囲を外れた個体の割合をまとめたものが以下の通りです。 

 臀鰭条数:26(0%) 
 背鰭条数:9.6(63%)
 側線鱗数:27.1(54%)

 これらの数値の乖離、そして本来の分布域から大きく離れている点から、私はこの個体群を「B. prima に非常に近い未記載種、もしくは既知の個体群から遺伝的に大きく離れた B. prima の一個体群」と判断しました。 

 それ以上のことは、現時点ではなんとも言えません。 いずれ現地を訪れ、自分の目でこの魚を確認してみたいと思っています。

 今回のケースは、採集地の情報がある程度明確であったこと、そして私自身がこの魚に対する基礎的な知識を持っていたことが幸いしました。 どちらか一方でも欠けていれば、Betta prima として普通に流通して終わっていたことでしょう。 

 アクアリウムにはさまざまな楽しみ方がありますが、このように目の前の魚をじっくり観察し、深掘りしていくのもまた1つの魅力です。 今回は、そんな楽しみ方の一例としてこの記事をお届けしました。 

 楽しんでいただけましたら幸いです。



迷宮探訪 2025年11月2号掲載

「ベタ・パリフィナ(Betta pallifina)と近縁な未記載種たち」

お世話になっております。前回に引き続き今回も小難しいベタのお話です。

今回は私が最近面白いと思っているユニマクラータグループの魚。その中でもベタ・パリフィナ(Betta pallifin)とそれによく似た未記載種たちについてご紹介いたします。
※当記事においては現地からのロカリティ情報が正しいという仮定で解説をさせて頂きます。

Betta pallifinaという魚はインドネシア領ボルネオ(カリマンタン)の中で中央カリマンタンと呼ばれる地域を流れるBarito水系の上流域に生息しているとされています。
タイプロカリティ(模式標本の採集地)はMuara Tewehと呼ばれる地域です。

まずは今回の解説に必要な地図をご覧頂くこととしましょう。



赤い線で記された河川がBarito川、赤い◯がMuara Teweになります。
そしてこちらがMuara Teweのものとして入荷したB.pallifina

B.pallifina"Muara Tewe"



以前私はこのMuara Teweより更に上流、にあるTanah Siangと呼ばれる地域で本種を採集しました。(青い◯)

B.pallifina"Tanah Siang"


その際、本種の中でも有名なタイプである"Bahiton"の生息地も通過しましたのでそちらも地図に記します。(黄色い◯)

B.pallifina"Bahiton"


※こちらについては通りかかっただけなので、やや正確性に欠ける可能性があります。

Tanah Siangの個体群は自身で採集したものを、Bahitonの個体群はTanah Siangで一緒に採集した現地漁師が採集したものを用いて計数形質を測定しましたが、いずれもB.pallifinaの範囲であり地域的にも数値的にもB.pallifinaであると考えてよいでしょう。

また、ほど近いTumbang Lahungという地域からも最近本種を輸入致しました。(黒い◯)
この個体群も数値的にはB.pallifinaの範囲内に収まっています。

B.pallifina"Tumbang Lahung"


さて、おおよそどのあたりにB.pallifinaが生息しているのかが見えてきましたね。
また、ここまでご紹介した個体の外見的特徴はそれなりに近しいことが見て取れるかと思います。

もしかしたら私達が思っているほど本種の表現の幅は広くないのかもしれません。(つまりホビーの世界ではB.pallifinaではない魚がベタ・パリフィナとして認識されているのでは?ということ。)

さて、ではここからはB.pallifinaによく似ている(混同されることの多い)魚を見ていきましょう。

…と言いたいところですが大分長い記事になってしまいましたのでここからはまた次回…



オマケ


バリト川はカリマンタン島中央部のミューラー山地から発し、中央カリマンタンで一番東側にある河川である。中央カリマンタンを蛇行しながら下流で二分し、東側は大都市バンジャルマシンでジャワ海に注ぐ全長約890kmの河川である
バンジャルマシン近郊では中央カリマンタンと南カリマンタンとの境界線にもなっている
流域は水が豊富な土地で三日月湖や細流も沢山ある。ベタではユニマクラータグループ、フォーシィグループ、コッキーナグループと多彩なベタが生息している
ジメジメ的には今回出てきたMuara Tewehとその上流のMurung Raya(Saripoi)、中流部のPendangが耳馴染みのある土地かもしれない(バリト東部 を意味するBarito Timurもよく聞きますね)

(green)



著者プロフィール

けんご

原種アナバス専門店「闘魚庵
主催のアナバニスト

アナバス以外にもメダカや水草などの採集も行っており、業界注目度が高い熱帯魚ハンターである


”原種アナバスと呼ばれるグループの魚に魅せられ、闘魚庵という原種アナバスの専門店を営んでいます。

「アナバス全種の繁殖維持」を目標に掲げ、東南アジアをフラフラしながら観察、収集や繁殖などにも力を入れています。”


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釣りが好きなオジサンです

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